北京五輪男子100キロ超級金メダリストの石井慧(21)=国士舘大=の総合格闘家転向が6日、確実になった。全日本柔道連盟(全柔連)の吉村和郎強化委員長が、前夜に石井から「総合格闘技に行きたい」と言われたという。全柔連は来年の世界選手権や12年ロンドン五輪の構想から石井を外す方針。石井の上がるリングは未定だが、年末年始にかけてDREAMと戦極がビッグマッチを計画しており、この時期にデビューする可能性が高い。
石井は前日の5日、都内で行われた世界国別団体選手権の会場に姿を見せ、報道陣に「プロになる気はない」と話していた。しかし、終了後に吉村委員長が今後の進路などについて石井と面談。「柔道が好きか」と聞くと「好きです」という答えが返ってきたが、話しているうちに、総合格闘技への熱い気持ちが伝わってきたという。
吉村委員長は6日、専門委員長会議に出席後、報道陣に応対。石井について「ロンドン(五輪)の構想には入っていない。自分の道をいけばいい」と“決別”を宣言し、「もう振り回されたくない。今さら(総合に)行きたくないと言ってきても遅い」と“三くだり半”を突きつけた。上村春樹専務理事も「本人が決めること。止めはしない」と容認する姿勢を示した。
石井は五輪前から総合格闘技への挑戦を希望しており、五輪後もイベントなどで派手なパフォーマンスを披露。柔道からプロ格闘家になった小川直也や秋山成勲と親しく、先月は直前で実現しなかったが、あこがれのエメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)とスパーリングの計画もあった。
全柔連は、選手がプロ興行に出場することを禁じており、石井がリングに上がるには柔道から完全に引退する必要がある。過去に柔道からは小川直也、吉田秀彦、滝本誠ら五輪メダリストがプロ入りしたが、トップ選手のままで転向するのは極めて異例。
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