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映画は娯楽追求…“マキノ雅彦”監督「次郎長三国志」

役者“津川”より板につき…

 まだ見ていない方は、この週末、必見だ。マキノ省三を祖父に、マキノ雅弘を叔父に持つ俳優、津川雅彦(68)。3代目監督“マキノ雅彦”を襲名して2作目となる「次郎長三国志」。映画は芸術ではなく娯楽、賞よりも観客重視−というマキノイズムをしっかりと継承している。

【賞より観客重視】

 1928年、雅弘(当時正博)の撮った「浪人街」がキネマ旬報ベストテンの第1位に輝いた。弱冠20歳の監督は当然うれしい。ところが“日本映画の父”でもある省三は怒った。「客が入らないような映画を作り、賞をもらって喜んでいてはダメだ」と。

 雅弘はそれ以後、賞とは無縁のヒット作を撮り続け、娯楽映画の巨匠として日本映画の黄金時代を築いた。そして亡くなる直前の93年、津川にマキノ3代目監督を託したのだった。

 「映画が芸術だなんて、祖父も叔父も思っちゃいない。職人なんですよ。映画館に時間とお金をかけて来てくれるお客さんを喜ばせたいというね。マキノのプライドは僕も継いでいる」と雅彦監督は言う。

 一昨年、満を持して「寝ずの番」で監督デビュー。続く「次郎長三国志」では叔父の傑作シリーズをリメークした。次郎長(中井貴一)とお蝶(鈴木京香)の婚礼から子分衆が結集したあだ討ちとなる最後まで飽きさせない。

 「叔父は当時、僕の家に居候しながら撮影所に通っていた。毎日いろんな裏話を聞けた僕は、この映画の長所も欠点も一番よく知っている。それで長所はパクリ、弱点は補強した」

 旧作よりも愛すべき次郎長像に、カタルシスのあるあだ討ちシーンになっている。今年はマキノ雅弘生誕100年。「記念すべき年に公開できてうれしい。叔父が見たら、ほめてくれると思いますね」

 数々の伊丹十三映画や最近の「落語娘」などで、名優・津川雅彦として存在感を放ってきた。が、ますます監督業にのめりこむ。すでに3作目の「旭山動物園物語〜ペンギンが空をとぶ〜」(来春公開)も完成させた。いつか“忠臣蔵”にも挑戦したいという。

 「もう役者は肉体的にきつい。ろれつも回らなくなるし、せりふ覚えも悪くなる。監督をやって分かったのは、役者はすごく孤独な作業だけど、監督はスタッフ頼みってこと。職人たちの共同作業で成り立っている。それが楽しいんですよ。でも、監督だけじゃ食っていけないので、役者もやらなければ」

 好きな映画として真っ先に挙げたのが「ローマの休日」。

 「古今東西、あんなによくできた映画はないと思う。おとぎ話にリアリティーを与え、面白おかしくコンパクトにまとめている。娯楽映画の鏡です!」

 観客を喜ばせる名職人、マキノ雅彦から目が離せない。

ZAKZAK 2008/10/06

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