生活保護費を受給する際、ケースワーカーらが詐取したり、横領、紛失、預かり金のまま本人に渡していなかったなどのトラブルが全国の19都道府県の43福祉事務所で、平成14〜19年の6年間で約50件、発覚していることが6日、会計検査院の調べで分かった。総額は2億1000万円にのぼるとみられる。
関係者によると、生活保護を支給される人の代わりに福祉事務所のケースワーカーらが受け取ったまま、本人に渡さなかったり、紛失したほか、被支給者からだまし取ったり、事務員の入力ミスで本人が受け取ることができなかったケースがあった。
大半は懲戒免職処分になっているが、刑事事件になっていないケースも多いとみられる。
厚生労働省によると、生活保護世帯への国庫負担金は全国で18年度は約2兆円、19年度は約1兆9000億円にのぼる。
大阪府では、大阪市西淀川区保健福祉センターの職員が平成18年10月、生活保護費約50万円を金庫から着服。同市生野区保健福祉センターの職員は15〜17年、過払いだったとして生活保護者が返還するために持参した365万円を横領した。職員はいずれも懲戒免職処分となっている。
18年1月には、生活保護ケースワーカーとして勤務していた京都市南区役所の保険年金課の職員が、担当世帯が転居した際に、敷金として約41万円を請求したが、実際は約21万円しかかかっていなかった。
福岡市でも同市城南区保健福祉センターの元主査(55)が18年、福岡市の生活保護受給者の女性が就労して収入が増えたのに、支給の廃止手続きを取らず、市から約50万円を詐取したとして逮捕されている。
検査院は、厚生労働省を通じ、市町村などに事務処理規定を作り、再発防止策を講じるなどの是正処置を求める予定。
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