ソマリア・モガディシオ――中東バーレーンに本部がある米海軍第5艦隊の報道官は4日、アフリカ東部のソマリア沖で過去24時間内に海賊の未遂事件が4件起きたと報告した。ソマリア沖は世界最悪の海賊多発海域で、世界各地で今年これまで報告された60件以上の海賊事件のうち約半数が発生している。
同艦隊報道官によると、4件のうち3件では狙われた船舶が高速で逃げ、海賊を振り切っていた。残る1件は、海賊がはしごで船舶上に乗り込もうとしたが、長さが足りず断念したという。
3件は、ソマリア北部のアデン湾で発生した。ソマリア沖には海賊頻発を受け、米軍などの多国籍海軍艦船が展開して監視活動を強化、被害の船を救出するなどしている。
ソマリア沖では9月25日、ウクライナ企業運航の貨物船乗っ取り事件が発生。身代金2000万米ドル(約21億円)を要求する海賊との解放交渉が続いている。ベリーズ船籍の同貨物船は、旧ソ連製のT─72型戦車33台、砲弾、迫撃砲発射装置、小火器類などを積載している。
兵器がソマリアの反政府のイスラム武装勢力に流出することを恐れる米海軍艦船が複数包囲し、移動などをけん制している。米政府はソマリアの武装勢力に国際テロ組織アルカイダが浸透しているとみている。
これら兵器は、ウクライナの国営武器メーカーがケニアに正式に売却していた。この事件を受け、欧州連合(EU)国防相会議がソマリア近海で海賊掃討に当たる海軍艦船派遣計画を承認するなど国際的な海賊対策の強化を図る動きが出ている。