北九州八幡東病院(北九州市八幡東区)で高齢の入院患者2人のつめをはがしてけがをさせたとして、傷害の罪に問われた同病院元看護課長上田里美被告(42)の初公判が6日、福岡地裁小倉支部(田口直樹裁判長)であった。罪状認否で上田被告は「つめをはいだりはしていない。浮いたつめを取っただけ。出血してもいいと思ったことはない」と起訴事実を否認し、無罪を主張した。
「つめはぎ」をめぐって、虐待か看護行為か、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立した。
事件は昨年6月、病院側が上田被告による患者4人への虐待行為として公表、発覚した。八幡東署は同7月、患者1人に対する傷害の疑いで上田被告を逮捕。北九州市も調査し「虐待と思われる行為があった」と認定した。
上田被告は、病院を懲戒解雇されたが「水虫などが原因でケアが必要なつめを切除した看護の一環」と虐待を否定。解雇は不当として、同病院を運営する医療法人北九州病院を相手取り、地位確認と慰謝料など計約1600万円の損害賠償を求める訴えを同支部に起こしている。
起訴状によると、上田被告は昨年6月、認知症で入院中の女性患者2人=当時(70)と(89)=に対し、つめ切り用のニッパーなどで右足のつめをはく離させ、それぞれ約10日間のけがを負わせたとされる。
=2008/10/06付 西日本新聞夕刊=