ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン岩手> 記事

桜ついに伐採 平泉・柳之御所遺跡

2008年10月05日

写真

「もったいないなあ」。切り株をさすり、伐採を惜しむ住民たち=平泉町の柳之御所遺跡

 奥州藤原氏の政庁・平泉舘(ひら・いずみの・たち)跡と推定される平泉町の柳之御所遺跡にポツンと残っていたシダレザクラの古木が4日、ついに伐採された。

 束稲山を背景に見事な花を咲かせていたが、04年の開花を最後に同年夏に葉がすべて落ちた。近くで国道4号平泉バイパス工事があり、工事の盛り土で流水がせき止められ、行き場を失った雨水が滞留して根腐れしたと推測されていた。地元住民が根元に栄養剤を注入して開花を願っていたが、史跡公園整備に伴い、倒木の危険性があるとして、用地を管理する県教委が伐採に踏み切った。

 地元13区長の千葉智さん(77)は、60年前にこの木に登り遊んだ記憶がある。「切り株には水分があった。まだ生きたかったんだろうなあ」と無念そうに話していた。

 サクラを蘇(よみがえ)らせることは、平泉世界遺産登録が目指す「環境保全」にも通じると、4年前から平泉のシンボルツリーとして保存活動に取り組んできた東京都世田谷区の史跡研究家佐藤弘弥さん(56)も立ち会った。伐採した幹を譲り受け、「丸太から仏像をつくり、公園内に小さな祠(ほこら)を設けるなどして安置させたい」と、銘木の名残を残す方法を考えている。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり