ここから本文エリア 現在位置:asahi.com> マイタウン> 神奈川> 記事 国道357号南下、実現へ動き。2008年09月29日
千葉市から横須賀市までの東京湾岸を通る国道357号(延長約80キロ)で、未整備部分の一つだった横浜・八景島―横須賀市間(2・3キロ)が、着工に動き出した。 20年前に事業化されたものの凍結状態だったが、米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンの配備に「地元への配慮」との見方が広がっている。 (其山史晃、岩堀滋) 三浦半島の南北は、国道16号と横浜横須賀道路が通るだけで、横須賀市内は慢性的に渋滞している。産業活性化などにつながることから、国道357号は市にとって十数年来の悲願だった。89年に事業化されたが、実施のめどは立たなかった。 米海軍は05年12月、米海軍横須賀基地を事実上の母港としていた通常型空母キティホークの後継として、原子力空母ジョージ・ワシントンを08年に配備すると発表。この事態を受け、地元側は「国防として負担するのだから地元に配慮を」(蒲谷亮一市長)と、国道357号の南下延伸を求め、冬柴国交相(当時)らに昨年4月以降、要望書の提出を繰り返した。 横須賀市議の1人も「原子力空母の配備という見えやすいリスクだからこそ、国道延伸を実現できる」と意気込む。 国土交通省は今年5月、未整備区間の設計費を予算計上した。同省関東地方整備局横浜国道事務所は「事業の実施に向けて動いてきた結果、このタイミングになっただけ。予算計上と原子力空母は無関係だ」としている。 一方、道路は八景島を抜けると橋脚で湾をまたぎ、野島水路の上を通って横須賀市内に抜ける。水路には干潮時に干潟が現れ、この干潟の上に幅22メートルの道路が架かることがわかった。 干潟近くでは水産有用種とされるイシガレイやハゼ、ヒラメなどの稚魚が確認されている。干潟は日を浴びることによる光合成で植物プランクトンなどが活性化し、生き物のえさになるほか、水質浄化機能もある。 干潟の生物研究をする神奈川県水産技術センターの工藤孝浩主任研究員は「現在の計画では干潟が隠れ、生物保育機能が低下する。生態系に大きな影響を与えるのは間違いない」と懸念する。 横浜国道事務所は「計画段階では、干潟を把握していなかったようだ。環境面の調査をしっかりやってから設計にあたりたい」としている。
マイタウン神奈川
|