関連法規事例
<2007年6月 発行:健康科学情報センター>


関連法規事例
1. 商品・サービス・名称等
2. 該当法規
3. 時期
4. 該当地域・団体
5. 事実関係

第1事例
1.パパイア薬
2.医師法、薬事法
3.6月1日
4.千葉県警
5.逮捕

 千葉県警環境犯罪課と千葉西署は、不眠解消効果があるとして未承認の医薬品を販売したなどとして、健康食品販売会社「エクセルジャパン」(青森県盛岡市)社長の大平宏志容疑者(51歳)と医師法違反と薬事法違反容疑で逮捕し、社員2人を薬事法違反容疑で逮捕し、3容疑者を送検したと発表した。調べによると、大平容疑者らは昨年6月に千葉市でセミナーを開き、「免疫力を正常にし、不眠から解放する」などと宣伝し、7月から今年4月の間に「パパイアセラピPS−501」計15箱を千葉県内の男女6人に計15万6450円で販売した疑い。大平容疑者はセミナーで医師と偽り、関東を中心にセミナーを開き、全国40都道府県で毎月1000人以上に販売。毎月1000万〜1200万円の売り上げがあったとみられる。


第2事例
1.MDクリニックダイエット
2.薬事法
3.6月1日
4.名古屋市
5.注意喚起

 名古屋市は、ダイエット薬としてタイから個人輸入されている「MDクリニックダイエット」の錠剤やカプセルから国内で未承認の医薬品成分のシブトラミンや医師の処方が必要なヒドロクロロチアジドが検出されたと発表した。健康被害が生じる恐れがあるとして服用中止を呼びかけている。MDクリニックダイエットは6種類の錠剤とカプセルを組み合わせて服用する。


第3事例
1.医薬品成分含有健康食品
2.薬事法
3.6月8日
4.東京都
5.注意喚起

 東京都福祉保健局は、痩身効果を目的として個人輸入された健康食品を東京都健康安全研究センターで検査したところ、医薬品成分の脱N−メチルシブトラミンが検出されたと発表した。個人輸入代行業者を管轄する千葉県に情報提供をするとともに都民に摂取による危険性を周知し、関係団体へ注意喚起の情報提供を行った。
医薬品成分を検出した製品
製品名:ゴールドメダルウルトラスリム−60
製造元:LosAngelesSupplement(アメリカ)
原材料名:ホーソン果実、センナ果実の種、牡蠣殻、蓮の葉
内容量:30カプセル入り
検査結果:1カプセル中「脱N−メチルシブトラミン」を26mg検出


第4事例
1.酔い覚め薬
2.薬事法
3.6月11日
4.広島地裁
5.判決

 「食べるとしらふになる」などとうたって、飲酒運転を助長するような未承認医薬品の広告をインターネットに掲載して販売したとして、薬事法違反の罪に問われた健康食品販売会社「タイニック」(広島県広島市)と同社元社長の豊口澄江被告(71歳)に対する判決が広島地裁であり、同社に罰金100万円(求刑罰金100万円)、豊口被告に懲役1年、執行猶予4年、罰金50万円(求刑懲役1年、罰金50万円)の判決があった。同社は2006年4月から12月の間、未承認の医薬品「しらふサラサラ」と「スーパー酔さめα」の広告を同社のホームページに「血液中に残ったアルコールが分解され、10〜20分でしらふになります」などと掲載。また、同年1月から12月の間、計27回にわたって「しらふサラサラ」など3611粒を25万2000円で販売した。


第5事例
1.血液ドロドロ
2.医師法
3.6月11日
4.警視庁
5.強制捜査

 警視庁生活環境課は、医師や看護婦の資格がないのに採血して「血液がドロドロで病気になりやすい」などと診断し、高額な会員サービスに加入させたとして医療サービス会社「フォーチュンパシフィックホールディングス」(東京都千代田区)を医師法違反容疑で家宅捜索した。同社は、グループ内の不動産会社を使って、採血に応じた高齢者から中国への投資を募り、数十億円を集めたという。調べによると、同社は無料で血液検査をすると都内の富裕層の高齢者を対象に電話勧誘。スタッフの栄養士が指先に針を刺して採取した血を機械で拡大して見せ、血液がドロドロだと入会をすすめ、営業社員が「このままではがんになる」と診断した例もある。採血に応じた人に対して鍼灸やマッサージを勧誘して、入会金100万円、1〜5年のコースで30万〜150万円の費用を取る行為によって約1600人が登録。心身ともに安心できる生活環境につながるとして中国への投資運用を持ちかけ、約1600人のうち約1割から北京や桂林のホテル建設名目で集金して、1人につき約1000万〜3000万円以上を集めた。


第6事例
1.調剤報酬詐欺
2.刑法
3.6月13日
4.警視庁
5.逮捕

 警視庁は、漢方薬局「健命堂」(東京都豊島区)社長の森田喜代重被告(56歳)が調剤報酬を騙し取った事件で、東洋大学元法学部教授で弁護士の林田学容疑者(51歳)、コンサルタント会社「日米総研」元社員の三俣晴一郎容疑者(50歳)、同社員の藤井剛容疑者(38歳)を詐欺の疑いで逮捕した。林田容疑者が実質的に経営する「日米総研」を通じて、森田被告らに不正な助言をしていたとみられる。生活環境課の調べによると、林田容疑者は実質的に経営する「神宮前クリニック」の診療報酬と「健命堂」の調剤報酬を騙し取ることを計画し、2005年7月から2006年5月の間、37人分の架空の診療報酬を請求し、計約92万円を詐取した疑い。また、架空の患者に調剤したと偽り、健命堂の調剤報酬計約328万円を詐取した疑い。林田被告は森田被告が逮捕されるまでの3月まで東洋大学法学部教授をつとめていたほか、薬事法の専門家として「日米総研」で健康食品会社約300社を対象にコンサルタントを行っていた。


第7事例
1.血液ドロドロ
2.医師法
3.6月19日
4.警視庁
5.逮捕

 警視庁生活環境課は、日本の医師免許がないのに診療をしたとして、医師法違反(無資格医業)容疑で、クリニック社員の高橋楊子(中国名:楊敏)容疑者(50歳)を逮捕した。同容疑者が勤めるクリニックは、警視庁に家宅捜索された医療サービス会社「フォーチュンパシフィックホールディングス」(東京都千代田区)の傘下で、2004年11月から今年4月の間に、採血して画像で血液の状態を見せて、「血液がドロドロで病気になる」などと告げて、フォーチュン社が集めた会員を違法に診察して、鍼灸などの高額サービスや中国での不動産購入などを勧めた疑い。


第8事例
1.不適正取引
2.東京都消費生活条例
3.6月19日
4.東京都
5.勧告

 東京都生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課は、健康不安を持つ消費者に対して、不適正な取引行為によって高額な医療サービス会員契約を締結していた「フォーチュンパシフィックホールディングス」(東京都千代田区)に対して、東京都消費生活条例に基づく勧告を行った。特定商取引法では医療サービスは適用除外となっているため、条例で勧告した。東京都における相談件数は平成14年度以降に合計227件。相談における契約者の平均年齢は67歳、平均契約額は約318万円。大半が高齢者からの相談で、「無料の血液検査と呼び出され、高額な医療会員権を契約させられた」「施設に通っていると中国の不動産投資を進められて契約したが、利益が出ないまま別の投資を勧められて不審」といった相談が多かった。同社はフォーチュンパシフィックグループの持株会社である「FPホールディングス」が100%出資する会社で、代替医療施設の「プライマリーケアメインセンター」を運営している。

 主な勧誘の手口は次のとおり。

・消費者宅にDMを郵送した後、電話をかけ、「無料で血液検査ができる。見学に来ませんか」などと販売目的を隠匿して呼び出し、高額な会員権契約を締結させる。
・退会時に入会金100万円と年会費の払い戻しがないことを勧誘時に告げない。
・血液検査の結果、「普通は離れているのにくっついている。これはひどい」などと不安をあおる。
・3時間以上の長期間勧誘を続け、断っても勧誘を続ける。
・「この先値段が上がるので今が得」「キャンペーン中でお得」などと事実と異なることを告げ、契約を締結させる。
・解約を申し出ると、事務所に呼び出したり、消費者宅近くまで赴き、考え直すように説得する。


第9事例
1.脱税
2.法人税法
3.6月19日
4.甲府地検
5.逮捕

 甲府地検は、法人税法違反(脱税)で、がん患者に対する独自の免疫療法で知られる医療法人三矢会(山梨県甲府市)理事長の佐野鎌太郎容疑者(71歳)を逮捕し、佐野容疑者が院長を務める佐野外科医院(甲府市)などを同容疑で捜索した。調べによると、三矢会と佐野容疑者は、2005年8月期までの3年間に約1億円の所得を隠し、法人税約2700万円を免れていた疑い。支払っていない賞与を職員らに支給したことにしたり、治療で使用する健康食品を大量に仕入れたことにするなどして、経費を水増しして、所得を少なく見せかけて脱税していたという。同委員は治療効果が明らかでない健康食品を服用させるなど健康保険法で認められていない特殊な療法を行い、2000年10月に佐野容疑者は保険医の登録を取り消され、2005年11月には医薬品として未承認の健康食品を広告したとして薬事法違反で警視庁から書類送検された。


第10事例
1.女性用バイアグラ
2.薬事法
3.6月25日
4.警視庁
5.逮捕

 警視庁生活環境課は、「30分で女性を興奮させる」「お酒に混ぜて飲ませれば後は思いのまま」とインターネットで未承認薬品の広告を出したとして、平井真計容疑者(24歳)と安村真吾容疑者(28歳)を薬事法違反容疑で逮捕した。「姫アグラ」「姫スポット」の名称で、42都道府県の323人に2454本(1本2ml)を販売して、262万円を売り上げた。調べによると、2人は今年2〜3月に4種類の商品を女性専用媚薬と宣伝した疑い。京都で仕入れた原液を水で薄めて、食紅で着色して、1本900〜1200円で販売。販売目的で自宅に707本を所持した。


第11事例
1.イオン洗面器
2.景品表示法
3.6月29日
4.公正取引委員会
5.排除命令

 公正取引委員会は、金属イオンの抗菌効果をうたった洗面器や洗いおけの広告内容が景品表示法(優良誤認)にあたるとして、製造会社3社と販売会社10社に対して排除命令を出した。これらの製品を置くと浴室や台所の流しのカビや細菌の発生までを抑える効果があると表示していたが、公正取引委員会は合理的根拠がないとして、こうした表示をやめるように命じた。公正取引委員会によると、各社はホームページやカタログ、新聞広告、新聞折込広告、ダイレクトメール、テレビショッピング広告で洗面器など銀イオンや亜鉛イオンが発生して、「浴室に置くだけでカビの発生を抑制」「食器の洗いおけとして使うだけでシンクなどのカビ、雑菌を抑える」などと表記していた。公正取引委員会が各社から合理的に証明する資料の提出を求めたところ、期限内に資料は提出されたものの、結果を裏付けるものではなかったことから排除命令が出された。

 排除命令を受けた製造会社と商品名:三恵精機(埼玉県草加市)「カビストップ洗面器」、藤田金属(大阪府大阪市)「びっくり湯桶、びっくり洗桶」、ナルプラ(栃木県足利市)「イオンパワーのおけ、イオンパワーの洗いおけ」

 排除命令を受けた販売会社と商品名:ベルーナ(埼玉県上尾市)「カビストップ不思議な湯おけ、イオンパワーキッチン桶」、総通(大阪府大阪市)「魔法の洗面器」、テレマート(大阪府大阪市)「カビストップ魔法の湯おけ」、高島屋(大阪府大阪市)「魔法の洗面器」、全国通販(大阪府大阪市)「メタルイオンの湯おけ、メタルイオンの洗いおけ」、QVCジャパン(千葉県千葉市)「びっくり湯桶」、佐藤商事(東京都渋谷区)「風呂場のカビストップ魔法の洗面器」、全通(東京都渋谷区)「メタルイオンの湯おけ、メタルイオンの洗いおけ」、ウイングツーワン(東京都新宿区)「イオン桶」、読売情報開発(東京都千代田区)「イオン桶」


第12事例
1.未承認薬製造販売
2.薬事法
3.6月30日
4.最高裁
5.上告棄却

 最高裁は、国内未承認の抗がん剤を製造し、インターネットで宣伝販売したとして薬事法違反罪に問われた岡山大学大学院医歯薬学総合研究科元助教授林肇輝被告(65歳)の上告審で、被告の上告を棄却する決定をした。懲役1年6月、執行猶予4年、罰金50万円の有罪が確定。林被告は無罪を主張していたが、2審の広島高裁岡山支部は「研究資金に窮して未承認薬販売を考えた」と認定。有罪とした1審の岡山地裁の判決を支持して被告側の控訴を棄却し、被告側が上告した。1審、2審の判決によると、林被告は医薬品輸入販売会社社長に指示し、1998年5月から未承認の抗がん剤約11万8000錠を製造し、インターネットで「がん予防、抑制物質として注目される新開発の漢方薬」などと宣伝し、2001年2月までに9789錠を11人に計約300万円で販売した。

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