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医師の不足や偏在の実態調査へ―日医

 医師の不足や偏在の実態を調査して今後の医師確保対策に役立てようと、日本医師会(唐澤祥人会長)は、全国の都道府県医師会と病院を対象に「医師確保のための実態調査」を実施する。調査の基準日は2008年10月1日で、対象は「全都道府県医師会」のほか、「08年度臨床研修プログラムに参加する病院」2435施設、「精神科病院」約230施設、「一般病院」約2900施設。今月20日までに調査票を回収し、年内に集計・分析して結果を公表する予定。

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 調査票は、「都道府県医師会」と「病院管理者用」の2種類を用意。都道府県医に対する質問項目は、「二次医療圏の医師の偏在・不足について、どのようにお考えですか」「二次医療圏別にみて、特に医師が不足している診療科および診療領域はどこだとお考えですか」「今般、国は医学部の定員を過去最大数まで増員することを決定しました。これについて、どうお考えですか」など6問。

 病院管理者に対する質問では、▽診療科別の医師数▽医師数の5年間の変化▽医師不足による影響▽医師不足の実感―など6問。

 今回の調査について、日医の内田健夫常任理事は10月1日の定例会見で、「09年度の医学部定員が8560人程度に増え、厚生労働省の『安心と希望の医療確保ビジョン』では、医師の養成数を現在の1.5倍まで増やすとした。しかし、具体的な数は『今後の検討を待つ』と言っているので、その中で検討してもらう材料にもなる」と説明している。

■医師は不足しているか?
 
医師不足をめぐっては、医師の総数が足りないのか、それとも「総数は足りているが、地域ごとにばらつきがある」という地域偏在か、「特定の診療科の勤務医が足りない」という診療科の偏在かが問題となっている。
 医師不足に関する基準の一つとされているOECD(経済協力開発機構)の「人口1000人当たり医師数」で見ると、日本の医師数は2.1人で、OECD(経済協力開発機構)加盟30か国平均の3.1人を大きく下回り、主要7か国では、カナダと並んで最下位にある(OECD「ヘルスデータ2008」)。

 これに対して、日本医師会総合政策研究機構は8月20日、「二次医療圏別に見た医師の偏在と不足」と題するワーキングペーパーを発表。「人口1000人当たり医師数は、二次医療圏別に見ると17倍の格差がある」とするデータなどを挙げ、医師の不足や偏在を地域ごとに調査する必要性を指摘している。

 「医師不足」の意味について、中川俊男常任理事は「無医地区があれば、その地区は医師不足と言うべきだが、現在問題となっているのは『勤務医不足』であることは間違いない」と指摘。その上で、「絶対数の不足か、偏在かという議論がある。『両方だ』というのが日医の見解。このまま(医師の)絶対数だけ増やしていいかどうかについては、医療費の引き上げとセットでなければいけないだろう。医師数だけ増やしても偏在は解消されるかという問題もある。これらを総合的に考えて、対策を立てていく必要がある」と話している。

 「医師の偏在」をめぐっては、「地域」と「診療科」の2つが指摘されることが多いが、「勤務医と開業医の偏在」を挙げる声も一部にある。


更新:2008/10/06 13:00   キャリアブレイン


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