心臓手術で最も医療事故の原因になりやすいとされるのが人工心肺装置です。こうした医療機器の操作を専門の技士だけでなく、医師や看護師も体験して、いわゆる「チーム医療」で医療事故を防ごうという取り組みが始まりました。
このシンポジウムは、2001年、東京女子医大病院で人工心肺装置の欠陥にからみ、当時小学6年生の少女が死亡した医療事故を教訓に行われたもので、コミュニケーション不足によるチーム医療の欠如が事故につながったと考えられています。
そこで、心臓手術における外科医や麻酔科医、看護師、そして人工心肺を操作する臨床工学技士らによるチーム医療が医療事故を減らすカギになるとされました。十分なコミュニケーションをとることで知識を共有し、相互信頼に基づく協力体制を作ることで、医療事故を防ごうというのです。
「チーム医療が大切。今後も何回か続けることで、人工心肺による事故を未然に防ぐことを目指す」(東京女子医大 麻酔科 野村 実 教授)
さらに、臨床工学技士以外の医療者が人工心肺装置を操作し、実際にトラブルを体験することで、原因を考察して適切な判断をする能力を養い、その回避策や対処策について事前に準備しておく必要性を知ることができるのだとされました。
臨床工学技士の新人が普段経験しないトラブルの発生で慌ててしまったようです。
「日ごろからトレーニングを怠らないようにすることを痛感した」(臨床工学技士は)
参加者のほとんどがこのシミュレーションを体験しました。
「気の利いたことが言えるようになれば、手術ももっとスムーズにいく」(手術部の看護師は)
「ちょっとしたことで命の危険が出てくる。お互いに何をやっているのか知ることが重要」(麻酔科医は)
医療事故を防ぎ、患者中心の良い医療を実践するためにあるのがチーム医療です。
「(すべてのスタッフが)一緒にやっているという感覚をもっと持ってほしい。トラブルが生じても、トラブル解決に必ず役立つ」(順天堂大学 心臓血管外科 天野 篤 教授)
(06日07:31)