地方の景気動向を「ジャンボ機の後輪」に例える説を聞いたことがあります。
機体を「景気」に、前輪を東京など「中央」になぞらえるというものです。ジャンボ機の離着陸を思い浮かべてみてください。機首を上げて離陸する時のように景気が上向く際は、前輪(中央)の方が先に上向き、後輪(地方)が地面から離れ浮上するのは、遅れがちになります。
反対に、景気が勢いを失い悪化する際は、着陸する姿勢のように後輪が先に地面に着き、前輪がやや遅れて着地する―という例え話です。
このたびの景気の後退局面でも、この説が当てはまる状況だったのではないでしょうか。少し前までは、東京へ出張で赴く機会の多い地場の経営者が、首都圏の活気や景気の良さを口にしていました。ところが、同じ時期でも、地方では好景気を実感するでもなく、むしろ原油や原材料の値上がりに苦しんだり、需要の低迷を嘆く声の方が多かったように感じます。
岡山、広島、香川県内の企業活動や産業の動きを中心に掲載する本紙の地方経済面。積極的な設備投資や新製品の開発が記事になる一方、不景気になれば、さまざまなコスト削減策などマイナス側面の事象の取材も多くなります。
そうした中、地域の中小企業が醸し出す“したたかさ”や“しぶとさ”を感じる記事も間々あります。景気の回復には乗り遅れ、悪くなるのは中央より先―。そんな地方で生きていくために、地域の企業がおのずと身につけたすべなのかもしれません。
(経済部・小松原竜司)