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【光市母子殺害判決の要旨(2)】「初対面で真実を話すのは不自然」 (4/4ページ)
このニュースのトピックス:刑罰
(イ)被告人が検察官から生きて償うように言われて、事実とは異なる内容の供述調書の作成に応じたというのが真実であれば、死刑求刑は検察官の重大な裏切り行為であり、被告人が旧供述を維持する必要は全くない上、弁護人に対し、検察官に裏切られたとして事案の真相を告げ、その後の対応策などについて相談するはずである。
しかるに、弁護人は弁論において本件公訴事実を争わなかったし、被告人も最終陳述において本件公訴事実を認めて、遺族に対する謝罪を述べたのであり、検察官に対する不満も何ら述べていない。
しかも、被告人は供述調書の内容について、後で訂正してもらえるという約束があったというのであるから、新供述に訂正する供述調書の作成を求めたり、その旨弁護人に相談したりするなどしてもよさそうであるのに、そのような行動に出た形跡もない。生きて償うよう言われて、事実とは異なる内容の供述調書の作成に応じた旨の被告人の供述は、たやすく信用できない。
(ウ)被告人は、安田弁護士から事件記録の差し入れを受け、初めて真相が分かったかのような供述をするが、自分の記憶に照らし、検察官の主張や判決の認定事実が真実と異なることは容易に分かるはずであり、事件記録を精査して初めて分かるという性質のものではない。
=判決要旨(3)へ続く
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