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【コラム】為替投機勢力との戦い、長期戦の覚悟を(下)

 為替投機勢力はハイエナのような存在だ。弱い相手だけを狙い、いったん攻撃すればその国の外国為替システムを焦土化させる。不幸にも韓国は彼らの餌食になるのに近い条件を備えている。政府の為替防衛能力は十分ではないと疑われている。防衛能力が限界に近づいたと判断した瞬間、為替投機勢力は一斉に攻撃を開始する可能性が高い。

 為替投機勢力は恐るべき火力を備えている。1992年から93年にかけての欧州通貨危機では、英国、フランス、イタリアのような先進国も彼らの攻撃にお手上げだった。最善の戦略は攻撃自体を放棄させることで、そうするためには韓国が弱点を見せてはならない。既に為替投機勢力との水面下の神経戦が始まっている。

 政府が保有する外貨の実弾は決して少なくはない。韓国の外貨準備高は世界6位だ。普段ならば外貨準備高は2400億ドル(約25兆2800億円)で十分だ。しかし、現在は平常時の計算は通じない。国際市場からのドル調達が断たれた状態で、国全体が外貨準備という唯一の命綱に依存しているからだ。

 市場関係者は政府が外貨準備をどれだけ使ったかをチェックするため、毎日のように計算機をたたいている。政府が市場介入を行うたびに、何十億ドル使ったという計算がすぐに出る。政府は隠そうとしても隠せない。政府は財布を開けた状態でポーカーゲームをしているようなものだ。

 市場では「外貨準備高の逆説」が生まれた。政府がドル資金を放出することが好材料であると同時に悪材料にもなる。市場は政府がドル資金不足を解消してくれることに喜びながら、一方では不安視している。時間がたてばたつほど、「目先の喜び」より「未来の不安」のほうが大きくなる。

 終わりが見えない金融の冬。政府は長期戦を覚悟すべきだ。外貨を放出しなければ、為替レートの上昇とドル資金の枯渇で大きな苦しみを生む。しかし、為替投機勢力との一戦を考えると当面の苦痛は耐えざるを得ない。耐えて、そして節約して、この不吉な酷寒期をしのぎ切らなければならない。

朴正薫(パク・ジョンフン)経済部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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