男女共同参画基本計画をこの人に聞く
目指すのは男女共同“家族・社会”です(6)
内閣府政務官 山谷えり子
聞き手/大学講師 猪野すみれ
在宅育児を支援する「家族責任」政策
−−基本計画には、夜間保育や延長保育を行う施設整備の数値目標が掲げられています。これはその根本理念が先ほどの「母乳育児」とは相反するように思います。
山谷 ゼロ歳児保育や延長保育を増やすだけの政策はバランスが悪いと思います。短時間勤務を可能にしたり育児休業を取りやすくするためにも、中小企業を補助金で応援していくという考え方もあると思います。
昨年視察したヨーロッパでは、育児休業制度の充実、再就職支援など、母親が育児に専念できる体制作りに力を入れていました。「集団で長時間保育するのは児童虐待ではないか」という考え方がありますから、一方的にゼロ歳児保育や延長保育を増やすなどという案が出てくるはずがありません。一九八〇年代、デンマークなどで「家族責任」という概念が提唱されました。これは親を単なる労働者としてみるのでなくて、保育者としての親を応援しなければいけない、在宅育児支援という考えで、まったく賛成です。スウェーデンやフランスでは、児童手当を豊かにし、育児休暇も十分に取れるような政策に力を入れています。これらは、「女性が仕事と子育てを両立できる支援策」ではなく、「母親が育児に専念できるような体制作り」を推進している例だと思います。
日本では今まで、少子化対策というと「保育所を増やせ」の大合唱で保育所の整備ばかりに政策が集中していました。最近では「児童手当を増やす」「所得制限はどのようにすればよいか」というように、徐々に一人ひとりの経済支援という方向に移ってきてはいますが、まだ足りませんね。
→つづく
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| 「正論」平成18年3月号 |
論文
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