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【略歴】
山谷えり子氏 昭和二十五年(一九五〇年)、東京生まれ。聖心女子大学文学部卒業。出版社勤務、サンケイリビング新聞編集長などを経て、平成十二年衆議院議員。十六年参議院議員初当選。自民党厚生労働部会部会長代理。『嫁姑合戦』『人生について、父から学んだ大切なこと』『サッチャー改革に学ぶ−教育正常化への道』(共著)など著書多数。

猪野すみれ氏 昭和四十六年(一九七一年)福井県生まれ。東京都在住。早稲田大学大学院博士課程修了。法律学、教育学、文学の学士号と教育学の修士号を持つ。複数の大学で授業を受け持つ。

 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>




男女共同参画基本計画をこの人に聞く
目指すのは男女共同“家族・社会”です(4)


内閣府政務官 山谷えり子
聞き手/大学講師 猪野すみれ

 農業基本計画に盛り込まれていた「家族経営協定」

 −−基本計画中の具体的政策をみていくと、国民の「私的領域への干渉」ではないかと思えるものが多々掲げられている点が気になります。例えば、「女性に対する暴力への社会的認識の徹底」の章には、いわゆるドメスティック・バイオレンス(DV、配偶者間暴力)に関連して、「『なぐるふりをして、おどす』という行為を暴力と認識する人の割合を一〇〇%に近づける」という取り組みが書かれています。しかし、こうした行為がどう位置づけられるのかはそれぞれの夫婦によって異なるでしょうし、本来暴力かどうか線引きが難しい問題だと思います。妻側もその時はまったく暴力だと思っていなかったのに、夫婦関係が壊れて離婚という事態となったとき、「あの時、暴力を振るわれた」として夫側の落ち度としてあげつらうことに利用される可能性もあります。

 山谷 確かにDVの問題は議論になりましたが、DV防止法との関連があって基本計画だけの議論では決められないという事情がありました。ただDV防止法改正で盛り込まれた、いわゆる“言葉の暴力”などは、どんな言葉が暴力かという線引きが不明確だという議論が高まっていますので計画からは外されています。“ 嫌がっているのにセックスを迫る”も“暴力”として盛り込もうという議論が当初ありましたが、外しました。

 −−「私的領域への干渉」で言えば、農林水産の第一次産業に従事する家庭で、妻に給与を与える「家族経営協定」の促進が目標として掲げられています。

 山谷 「家族経営協定」についても議論されましたが、平成十七年三月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」に盛り込まれているという理由で残すことになりました。

 計画ではこのほか「活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立」の章で、「農山漁村女性の固定資産の形成の促進・支援を図るため…」として女性の固定資産形成を応援するという目標も掲げられています。

 これに対して、自民党内からは、田んぼの名義を夫婦でフィフティ・フィフティにして本当に農業の推進になるのかという意見が政府に出されました。例えば「私はもう農業イヤ」といって自分の名義分の田んぼを駐車場などにして売るケースが増えたらどうするのか。田んぼをどんどん分けてしまったらもう農業はできなくなる、いわゆる「たわけもの」になってしまう、と(苦笑)。

 基本計画中の農業に関する部分は、特に自民党の総務会で議論になりました。私も中川昭一農水大臣にお話ししました。農業をきちんと守っていかないと日本は立ち行かなくなります。今後も党と政府の間で検討が続くと思います。

 −−話を伺うと、基本計画の細かい部分まで議論されていることが分かります。国民の間で議論になっている男女共同参画社会基本法や、第一次計画決定の制定・決定時にはなかった政府や自民党の姿勢ではないでしょうか。森喜朗前首相も、『月刊自由民主』平成十八年一月号の上坂冬子さんとの対談で、「森内閣で一つ失敗したことがあります。『男女共同参画社会』、あれは『男女共同家族社会』にすべきだった」と発言されています。

 山谷 この五年間で国民、そして政府や国会議員・地方議員がそれぞれ、この問題を深く考えるようになったということだと思います。基本計画の土台の中に家族否定、文化否定、秩序破壊思想が入っていたのではないかという議論が自民党内閣部会で持ち上がり、党として真摯にこの問題に取り組んでいかなければならない、という方向に党内の意見がまとまったことは大きいことでした。今回の基本計画決定にあたって、内閣府として過去五年間の反省をふまえ、家族の大切さ、母性支援、父性支援、再チャレンジを重要なことと位置づけました。

 今後は、各省庁の政務官が集まる政務官会議でプロジェクトチームをつくり、家族政策の充実を図り、地域共同体のあり方を見直すという方向で、少子化問題や男女共同参画問題を考え、最終的に官房長官に提言書を出すことになりました。私は特に家族政策の充実に関心を寄せています。

→つづく

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 「正論」平成18年3月号 論文



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