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【光市母子殺害判決の要旨(1)】「被告人が、自己のした行為をどのように考えているのかが重要」 (3/4ページ)
死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情の有無を検討するに当たり、被告人が本件各犯行をどのように受け止め、本件各犯行とどのように向き合い、自己のした行為についてどのように考えているのかということは、極めて重要である。
そこで、当裁判所は、被告人の新供述の信用性を判断するための証人尋問なども行った。
《3》新供述に至るまでの供述経過
被告人の新供述に至るまでの供述経過は、以下のとおりである。
(1)被告人が逮捕された翌日に作成された被告人の検察官調書(乙15)には、被害者をレイプしようとしたところ、激しく抵抗されたことから、首を手で絞めて殺し、その後レイプした、被害児が激しく泣き続けたので、黙らせるために首をひもで絞めて殺したなどと、本件公訴事実を認める内容の供述が記載されている。
それ以降作成された被告人の捜査段階の供述調書には、細かな点について多少の変遷などはあるものの、本件公訴事実自体については一貫して認める供述が記載されている。
なお、被告人の平成11年6月10日付検察官調書(乙32)には、自宅を出た後、アパートの3棟に向かう途中で、アパートを回って美人の奥さんでもいれば話をしてみたい、セックスができるかもしれない、作業着を着ているので、工事か何かを装えば怪しまれないだろう、押さえつければ無理やりセックスができるかもしれない、布テープを使って縛れば抵抗されずにセックスができる、カッターナイフを見せれば怖がるだろうと考え始めたが、まだ、本当にそんなにうまくできるだろうかという半信半疑のような状態であった。排水検査を装って回るうち怪しまれなかったため、本当に強姦できるかもしれないとだんだん思うようになった、被害者を強姦しようという思いが抑えきれないほど強くなったのは、部屋の中に入れてもらってからである――などと記載されている。
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