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【光市母子殺害判決の要旨(1)】「被告人が、自己のした行為をどのように考えているのかが重要」 (2/4ページ)
(4)検察官が上告を申し立て、最高裁は、第1審判決の量刑を是認した差し戻し前控訴審判決は刑の量定が甚だしく不当であり、これを破棄しなければ著しく正義に反するとして、差し戻し前控訴審判決を破棄し、死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情があるかどうかにつきさらに慎重な審理を尽くさせるため、本件を当裁判所に差し戻した。
《2》差し戻し控訴審の経過
被告人は、強姦および殺人の計画性を争ったほかは、ほぼ一貫して、本件公訴事実を全面的に認めていた。そして上告審においても、公判期日が指定される以前は裁判所や弁護人に対し、本件公訴事実を争うような主張や供述をしていなかったことがうかがわれる。
ところが被告人は当審公判で、本件各犯行に至る経緯、各殺害行為の態様、犯意などについて、供述を一変させた。
すなわち、アパートの各室を訪問したのは、人との会話を通じて寂しさを紛らわせるなどのためであり、強姦目的の物色行為ではない。被害者を通して亡くなった実母を見ており、母親に甘えたいなどという気持ちから被害者に抱きついた。被害者の頚部を両手で絞めつけけたことはない。仰向けの被害者の上になり、その右胸に自分の右ほおをつけた状態で、被害者の右腕を自分の左手で押さえ、自分の頭より上に伸ばした右手で被害者の身体を押さえていたところ、被害者が動かなくなり、見ると、右手が逆手の状態で被害者の首を押さえていた。被害者をあやめてしまったという自責の念から、ポケットに入れていたひもを自分の左の手首と指に絡めるようにし、右手で引っ張って締め、自傷行為をしていたところ、被害児が動かない状態になっているのに気が付いた。被害児の首を絞めたという認識はない。被害者に生き返って欲しいという思いから姦淫した。被害者方に持っていった布テープと間違えて、財布を被害者方から持ち出した。殺意も強姦および窃盗の犯意もなかった――というのである。
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