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トップインプレッション(リスト)日産フェアレディZバージョンST(FR/6MT)【短評】 (05.10.19)
インプレッション
【スペック】全長×全幅×全高=4315×1815×1315mm/ホイールベース=2650mm/車重=1510kg/駆動方式=FR/3.5リッターV6DOHC24バルブ(294ps/6400rpm、35.7kgm/4800rpm)/価格=390万6000円(テスト車=442万5750円)
本物は、心意気と哲学から生まれる


日産フェアレディZバージョンST(FR/6MT)
……442万5750円

デビューから3年を経た「フェアレディZ」がマイナーチェ ンジを受けた。MTモデルのエンジンの最高出力が294psと なったことが話題だが、スポーツカーとしての魅力はそれ以外にもさまざまな面で増していたのである。




【テスト車のオプション】
カーウィングスナビゲーションシステム(DVD方式)=26万7750円/ETCユニット=4万2000円/SRSカーテンエアバッグシステム+運転席・助手席SRSサイドエアバッグシステム=7万3500円/特別塗装色(プレミアムミスティックマルーン)=13万6500円)

格段にスムーズに回る
鮮烈だったデビューから3年。これまでも随時改良を加えられてきたフェアレディZが、これまでで一番大がかりなリファインを受けた。

けれど、そうは言っても見た目の印象は大きくは変わっていない。フロントバンパーや前後のライト、アルミホイールなどの変更は、マニアでもなければ気付かないが、同時にマニアであれば必ず気付くという程度のもの。いい案配だと思うし、率直に言って安心した。歴代Zのアイデンティティもしくはモチーフをそこかしこに引用しながらも、決して懐古趣味には陥らないそのスタイリングは、現在の日本車の中でも屈指のものだと思っていたからだ。

むしろ大きな違いは、乗り込んでみて気付くことになる。さらにクオリティアップしたコクピットに収まり、6段MTのシフトレバーを1速に入れて走り出すと、すぐにその心臓であるVQ35DE型が、格段にスムーズに回るようになったことに気付く。これまでは始終ゴロゴロとした感じがつきまとっていたが、それがきれいに消えているのだ。しかも、そのまま引っ張れば7000rpmまで高められたレブリミットまで、高回転域でのもうひと伸びまで感じさせながらスッキリ回ってくれる。迫力はあるけれど繊細さとは無縁だった従来のエンジンとは、まるで別物だとまでは言わないまでも、段違いにいいエンジンに育ったと言えるだろう。









賞賛されるべき真摯な姿勢
ハンドリングも確かに変わった。新たに採用されたのは車速感応型パワーステアリングとデュアルフローパスショックアブソーバー。これらの相乗効果で、操舵フィーリングは軽く、それでいて濁りの少ない路面感覚のクリアに伝わるものとなり、それで気分的により積極的に操舵していけるようになったせいかもしれないが、ターンインもよりスムーズさを増した気がする。あるいは最初のマイナーチェンジの時の足よりも、再びスプリングは硬くなったのかもしれない。そのぐらい操舵に対する反応がリニアなのだ。

デビュー当初のZは価格、デザイン、パフォーマンスが賞賛される一方で、荒い乗り心地や6段MTのシフトフィールの悪さ、チープなインテリアなど不満も少なくなかった。しかし日産は、そうした声に真摯に耳を傾け、これまでZを、より理想的なZに近付けるべく着実に熟成させてきた。華々しい登場とは裏腹に、後年はずっと放っておかれた先代Z32型を引き合いに出すまでもなく、その姿勢は手放しで賞賛したい。

あるいはZをスポーツカーたらしめているのは、スタイリングや動力性能、ハンドリングはもちろん、実は何よりもこうした日産の心意気なのではないだろうか。フェアレディZは世界でも非常に珍しい、量産車のプラットフォームを使ったスポーツカーである。けれど誰も、だからといってZはスポーツカーではないなんて言いはしないのは、つまりスポーツカーが本物か否かは、そういう要素に左右されるものではなく、どんな哲学をもって生み出され、どのように育てられたかが決めるということを表している。



まごうかたなきリアルスポーツ
そういう意味で先代Z32型は、スポーツカーとしては本物になり切れなかったと言えるのかもしれない。一方で走りの歓びを真摯に突き詰めていくこのZ33は、まごうかたなきリアルスポーツカーだと言い切れる。

確かに、ポルシェ911でもよく言われるように、毎年良くなっていくということは、つまり1年で自分のが古くなってしまうという現実もある。しかし、やはり911がそうであるように、それが本物であれば、古くなっても自分の中での価値が落ちることはないはずだ。むしろそのストーリーの重要な1ページを占める1台を所有することには、誇りすら感じられるようになるんじゃないかとすら思うのだが、どうだろうか。

これまでZを購入したオーナーすべてが、そんな誇りをこれからも抱いていけるように、Zには今後も変わらぬスピリットで進化を続けていってほしいと思う。

(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2005年10月)





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