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自民党:資料要求で全府省庁に相談指示 年金も事前報告 「情報隠ぺい」民主猛反発

 自民党国会対策委員会が全府省庁に対し、民主党から資料要求があった際は事前に相談するよう求めていたことが明らかになった。厚生労働省が発表した「改ざんの疑いがある厚生年金記録約75万件」を引き出した民主党議員提出の質問主意書への回答も、厚労省が自民党の要請に沿って事前に報告していた。

 民主党は強く反発しており、6日から始まる衆院予算委員会でこの問題を取り上げて追及する方針だ。

 「なぜ民主党には言わず、自民党には言ったのか」。3日の民主党厚労部門会議で、長妻昭衆院議員らが迫ると、厚労省の担当課長らは「自民党から要請があったからだ。政府と与党は一体だ」と抗弁した。

 長妻氏は9月25日に主意書を提出、答弁書は3日閣議決定された。厚労省は2日、民主党には「閣議決定前」を理由に知らせない一方で、自民党には「非公式に」(幹部)知らせていた。

 問題は9月12日に端を発する。自民党の村田吉隆国対副委員長が野党の資料請求が膨大な量に上るとして、各府省庁の官房長に「ルール作りのために実態把握が必要なので相談してほしい」と要求。内閣総務官室も各府省庁の国会担当者に相談を指示した。

 政府・与党は「事前検閲ではなく、実態把握」と主張。自民党の大島理森国対委員長は3日、記者団に「ある議員からの要求には2055人、延べ4350時間の膨大な事務作業と時間外手当がかかった。ルール作りのため実態を教えてくれということで、それ以上でもそれ以下でもない」と強調した。

 民主党の反発には「省庁の資料から不祥事を暴いて追及する」という党のセールスポイントが脅かされかねないという認識がある。

 鳩山由紀夫幹事長は3日の札幌市での講演で「改ざんされた記録はもっとあると思う。『もっと隠ぺいし、民主党に素直に情報提供してはダメだ』と自民党国対が言ったんだろう」と批判した。【西田進一郎、小山由宇】

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 ■ことば

 ◇質問主意書と資料要求

 国会議員は国会での質疑以外にも政府に質問する権利がある。国会法74、75条に基づく質問主意書で、所属院議長に提出、議長が承認したうえで政府に送られる。単純な資料の要求は先例上認められていない。政府は原則7日以内に答弁書を閣議決定し、議長に送らなければならない。与野党申し合わせで主意書提出は国会会期中に限られる。これに対し、議員個人の資料要求に法的な規定はない。

毎日新聞 2008年10月4日 東京朝刊

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