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県内の小学校での飼育動物激減/鳥インフルエンザの影響
- 子育て・教育
- 2008/10/05
小学校での動物の飼育活動は情操教育の場にもなっている。ところが、鳥インフルエンザの影響や周辺住民の苦情などでここ数年、県内の小学校で飼うニワトリやウサギなどが激減している。訪問指導を行っている獣医師は「生命の尊さを学ぶ場が失われている」と危ぐしている。
県教委保健体育課は鳥インフルエンザ発生に伴うアンケートを二〇〇四年と〇七年に実施。〇四年にはニワトリやチャボが県内の公立小学校で五百四十九校計二千四百羽飼われていた。ところが、〇七年には四百七十二校計千六百五十二羽と大幅に減少していた。
横浜市でも二年前には市内小学校でウサギ八百四十八羽、ニワトリやチャボ五百九十九羽が飼われていたが、今年の調査ではそれぞれ七百十羽、四百七十羽といずれも百羽以上減っている。
要因は五年前にアジアを中心に流行した鳥インフルエンザ。日本でも七十九年ぶりに発生した。対策に毎年、飼育担当の教師を対象にした衛生面などの講演会も開く自治体もある。それでも、感染を懸念し、ニワトリなどが死んでも新たに補充しない学校が増加。最近では周辺住民から鳴き声やにおいに対する苦情も寄せられ、飼育環境は一層、厳しくなっている。
そうした中でも、「飼育は貴重な教育」と位置付け、盛んに活動する学校もある。横浜市立池上小学校(神奈川区菅田町、木内武敏校長)ではウサギ十八羽、チャボ二羽を飼育する。飼育委員は現在十七人。毎年定員を上回る応募がある。「子どもたちが自発的にわらを農家からもらってきて、住みやすい環境を整えている。命の大切さを実感し、皆で協力し合っている」と、飼育担当の岩崎薫教諭は活動の意義を語る。
横浜市では獣医師が学校に出向き、子どもたちに寄生虫などの病気の早期発見や飼育小屋の掃除などを指導する。港南動物病院の太田雄一郎獣医師は「団地やマンション住まいの子どもが増え、動物を飼う機会が少なくなっている。継続して世話することで責任感などもはぐくめるのだが…」と教育効果を強調しながら、飼育動物が減る現状を憂えている。
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