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韓国の庶民を苦しめるヤミ金融(上)

最近の不況で未登録業者は大隆盛、狙いは金融疎外階層

私金融の市場規模は30兆ウォン、毎月200社余りが新規開業

芸能人・無職の女性などがターゲット、一度はまると利子率は殺人的

 ソウル市城東区の主婦ハン某さんは昨年10月、小さな食堂を開こうとしてヤミ金融から750万ウォン(現在のレートで約70万円。以下同)を借りた。融資額から手数料および先利子として250万ウォン(約23万円)が差し引かれ、手元に残ったのは500万ウォン(約47万円)。利子だけでも毎月75万ウォン(約7万円)を払わなければならない年率120%の高利貸だったが、仕事がないという理由で銀行の窓口では断られ続けていたハンさんにとって、ヤミ金融のほかに金を借りるあてはなかった。

 最初は「気軽に使ってゆっくり返済しなさい」と親切に金を貸してくれた業者だったが、利子をきちんと返せない日が続くにつれ、「次も延滞したら娘たちを売る」と脅し始めた。2度続けて延滞したときには、夜遅くに家までやって来たこともあった。10カ月間、毎月100万ウォン(約9万円)ずつ、総額950万ウォン(約89万円)を四苦八苦して返済してもなお、「元金を返せ」という要求を受け続けたハンさんは、先月ついに金融監督院の門をたたいた。

 先月8日に遺体で発見されたタレントのアン・ジェファンさん(36)の死因は、ヤミ金融業者から借金返済の取立てを受け続けたことを悲観した末の自殺だったということが判明した。この事件で、私金融の危険性が改めて浮き彫りになっている。2002年に貸付業法が施行された後も依然として未登録のヤミ金融業者が横行しており、さまざまな被害の事例が続出しているためだ。特に、景気が悪くなるにつれて銀行など正規の金融機関は融資の引き締めに乗り出し、ヤミ金市場に頼る庶民が増えたことで、私金融は好況を迎えている。

◆繁盛する私金融市場、規模は30兆ウォン 

 今年第1四半期における韓国の一般家庭の負債額は、およそ640兆ウォン(約60兆円)。今年の国内総生産(GDP)の70%に迫る額だ。金融機関が多額の負債を抱える人物への融資を引き締めると、彼らは私金融に依存するほかなくなる。

 今年6月現在で、ソウル市内の登録済み私金融業者の数は約6400社余り。このうち半数が、2007年以降新たに設立された。

 毎月新しく登録される業者の数も200社余りに上る。ソウル明洞に住むヤミ金融市場の専門家、キム某さん(別名キム先生)は「このところヤミ金融市場には、数千万‐数億ウォン程度の小額資産で整形資金・海外就職資金などニッチな融資市場を攻略する“ベンチャー企業”が登場している。実際、私金融市場の規模は30兆ウォン(約2兆8000億円)に達する」と語った。

チョン・チョルファン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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