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マーケティングともの作りの話

 「マーケティング」という言葉を聞くと「商品に関する情報を顧客に向けて発信する」だけと考える人が多いが、マーケティング部門の役割として同時に重要なのは、顧客のニーズをきちんと探り出して「何を作るべきか」という部分に反映させること。

 ちょうど今読んでいるHarard Buisness Reviewにとても良い例が出ていたのでその紹介。

 米国のペンキ会社が、競争相手に安売り競争を仕掛けてられ、「利益を削ってでもマーケットシェアを維持すべきか」という厳しい選択に迫られていた。その時にその会社のマーケティング部門が調べ出したのが、主な顧客である塗装業者が何にお金を使っているかというデータ。

 そのデータによると、ペンキそのものは経費の15%にすぎず、大半は人件費だという。それも、ほとんどのケースで、一度塗ったペンキを十分に乾かすために、次の日にもう一度現場に足を運んで二度塗りをしているためによけいな人件費がかさんでいるという。

 そのデータに基づいて開発部門が開発したのが「早く乾くペンキ」。ペンキが早く乾けば、一日のうちに二度塗りを終えることができ、大幅な人件費の節約が出来る。その結果、マーケットシェアを失わずに40%の価格を上乗せすることができたという。

ふむふむ、と。

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Comments

HBRのケーススタディも質が落ちたね。。。

労働集約型である外装工事業者のコスト構造において原価(材料費)比率よりも人件費比率の方が大きい、なんてことをわざわざマーケティング調査しなければ把握できない外装材・塗装材メーカーって一体どんな経営感覚なのだろう。まあ、この場合は論文書いた著者がケースを「マーケティングの勝利」として美談化したかったのでしょうが。

マーケティング信仰の問題は、本来マーケティングコンサルを雇わなくてもマーケティング調査をしなくても把握できていなければならない根幹の問題・現象について、経営者も幹部も担当者も揃いも揃ってマーケティングもしくはそのコンサルエージェントに依存してしまうところ。「MBAテキストブック鵜呑み経営」の弊害と思います。

?
私自身、シリコンバレーでマーケティングに携わっています。
誰のことを指して"「マーケティング」という言葉を聞くと「商品に関する情報を顧客に向けて発信する」だけと考える人が多い" とおっしゃっているのかわかりませんが、そんなふうに考えているマーケターなんて私の周りには誰もいません。別にマーケティングに携わっていなくても、普通の経営感覚を持っている人にそんなふうに考える人がいるとは思えません。 ”部門”というからには中規模程度以上の会社のことを指されているとして、私的に一番難しいと思うところは、シリコンバレーの大部分のようなEngineering Drivenのかつ元EngineerがCEOをやっている会社において、顧客第一主義の元にマーケティングが作り出した、その”何を作るべきか”という部分をEngineerの連中がDigestできるような形に落とし込んで納得させた上で、実際に商品にしていくところですかね。まぁこれは組織としての問題であって、ちょっと論点がはずれていますが。ケーススタディーについては、ぶらりんさんに同意です。

人件費がどうのというのは本質ではなくて、自社の製品の改善点は何かを[事実に基づいて]調査して、製品を企画するということをスタディする話でしょう。兎角、マーケティングというのは主観で製品の企画をしたり、競争に自ら巻き込まれに行く傾向があることを窘めているのでは。
ところで、「商品に関する情報を顧客に向けて発信する」というセンテンスで思い浮かぶのはマーケティングよりもエバンジェリストなのですが、エバンジェリストは商品というよりも自社技術の情報発信かもしれませんが、以前ほどはエバンジェリストについて騒がれなくなりましたが、Nakajimaさんがエバンジェリストの役割や位置づけで何か知っている事がありましたら、一度、書いていただけるとうれしいです。

「原価(材料費)比率よりも人件費比率の方が大きい」という、一般常識的印象で思考が停まってしまうのが、むしろ「MBAテキストブック鵜呑み」かなと思います。

今回の例で重要なのは、
1.ペンキ会社の「お金の使い方」の課題に辿り着いた
 (埋もれていたニーズを明らかにした)
2.それを解決させる商品を提供できた
 (商品企画・商品開発)
という2点ではないでしょうか。

(1)のニーズの解明でいえば、
例えば、ペンキ会社の決算報告書が公開されていたとして、それら資料を見てみれば、原価(材料費)比率よりも人件費比率の方が大きいことは分ります。

大抵は、その一般的事実に対して「ふーん」という感想で終ってしまうのでしょう。
しかし、この塗料会社のマーケティング担当者はそこに違和感をもち、「次の日にもう一度現場に足を運んで二度塗りをしている」
という事実に辿り着くことができたのだと思います。

そこには、人件費と材料費の比率だったり、何かしらの回転率のような指標を独自に考えてみたりという視点や、現場に足を運んで調べたり、クライアントに聞いてみたりという行動など、いろいろあったのかもしれません。


(2)の商品開発で言っても、ちょっと考えるだけでも
・機能や価格などの面で、ニーズの充足と販売を両立できる
 バランスを規定する(商品企画)
・実際の商品化(研究開発・商品開発)
という側面があります。


・・・と、長くなりましたが、要はこれらを一連で連携させて、ゴールまでころまで辿り着けるのはなかなか難しいでしょう。組織体勢の問題だったり、個々の担当者がそれぞれの役割を乗り越えられるか、だったり困難が予想されます。

でも、この一連の流れをデザインし、消費者・顧客に価値を提供する仕組みを実現するのが「マーケティング」なのかなと思います。

「二度塗りの人件費」に本来気が付くべき人は誰なのか?

ってところがポイントですかねー。

データに基づいて「早く乾くペンキ」を開発させる=プロダクトマーケティング
早く乾くペンキに関する情報を顧客に向けて発信する=マーケティング
と思いますが。
うまくいく製品戦略はこの2部門が連携して立てられる事が多いかと。

>「マーケティング」という言葉を聞くと「商品に関する情報を顧客に向けて発信する」だけと考える人が多いが
は、日本の会社においては、という前提においては、そう思います。プロダクトマーケティングがエンジニアドリブンで市場の需要を考慮せずに行われ、マーケティングは広告会社に丸投げ、と。最も、製品としてあまりに優れた物はこのパターンでもバカ売れするし、プロダクトマーケティングとマーケティングが綿密に連携しても、クズ商品はさっぱり売れなかったりしますが。

私にとっては非常に興味深いエントリーでした。
心に留めておきたい考え方です。
ありがとうございます!

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