米大統領選で副大統領候補のテレビ討論会が、これほど注目を集めたことは、かつてないという。共和党のペイリン・アラスカ州知事と民主党のバイデン上院議員の論戦の様子を生中継で見た。
国政経験のなさなどから討論が不安視されていたペイリン氏。テレビカメラをまっすぐに見詰めて話す表情には、いくぶん硬さがみられたものの、一生懸命追及を続けたという印象だった。
対するバイデン氏は大ベテランらしく、身ぶりや表情も豊かで余裕を感じさせた。CNNテレビの討論会直後の世論調査では、バイデン氏優勢が51%とペイリン氏の36%を上回った。
副大統領候補の討論会は、この一回限りだ。共和党マケイン、民主党オバマ両上院議員が争う選挙戦の行方に大きな影響を及ぼす可能性がある。過去の大統領候補の討論会では「時計に目をやった」といったささいなしぐさが評価を下げた例もあった。
それだけに、ペイリン氏は事前に三日間、マケイン氏の別荘で特訓を受けて備えた。バイデン氏は、やり込めると逆に有権者の反発を招くと考えたのか、ペイリン氏の直接攻撃は避けたようだ。
十一月四日の投票日までちょうど一カ月。マケイン、オバマ両候補は、あと二回あるテレビ討論会で直接対決する。舌戦はいよいよ大詰めを迎える。