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【社会】

空自一佐を懲戒免 防衛省 記者に漏えいで初

2008年10月3日 朝刊

 南シナ海での中国潜水艦の事故をめぐる「防衛秘密」が防衛省から読売新聞記者に漏えいしたとされる事件で、同省は二日、自衛隊法(防衛秘密漏えい)違反容疑で書類送検された元情報本部課長の北住英樹一等空佐(50)=同本部総務部付=を、同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。

 外国スパイへの情報漏えいで自衛官が懲戒免職された前例はあるが、記者への情報提供での懲戒免職処分は初めて。東京地検の刑事処分の前に、最も重い処分に踏み切る異例の展開となった。

 背景には情報保全強化の流れがあり、取材を受ける公務員が萎縮(いしゅく)するなど「知る権利」「報道の自由」の制約につながる恐れがある。

 同省によると、北住一佐は「防衛秘密と認識していたが、部外者に伝達した」と説明しているという。増田好平事務次官は同日の定例会見で「過去の漏えい事案と同様に免職とした。報道の自由は認識しているが、知るべき立場にない人に伝えたのは問題」と話した。

 読売新聞は同日、「取材源を特定する捜査が行われ、情報漏えいを理由に懲戒免職処分としたのは極めて遺憾」とするコメントを発表した。

 自衛隊法は漏えい教唆罪も規定しているが、記者の事情聴取は行われていない。

 公務員への取材と情報提供をめぐっては、外務省機密漏えい事件の最高裁決定(一九七八年)が「真に報道目的で手段が社会通念上相当なら正当な業務行為に当たり、違法性はない」と判示している。

 

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