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「人生の目標を持ち、天に恥じず、地に恥じない 品格ある人間を育てたい。

九州大学や久留米大学附設中学校・高等学校※1で長年、教育現場に関わってこられた樋口忠治先生が、この度、明光義塾、EDINAなどを運営するアネムグループの特別顧問に就任されました。 これまで歩んでこられた道や現代の教育について、また保護者の方々へのメッセージ、今後の抱負などをお話ししていただきました。
※1 東大合格実績ではラ・サール高等学校に次ぐなど、九州を代表する進学校。福岡県久留米市、1950年設立。

品格ある教育を目指して

最後に、エディナが提唱する「品格教育」についてのお考えをお聞きしました。

「“これ”と言うのは難しいのですが、ただ一つはっきりしているのは、人生の目標を意識していること、そして天に恥じず、地に恥じない生き方をしようと思う人間を作っていくことだと思います」。

それを実感されたのが平成9年頃、久留米附設の創設者である小野寺直助氏が出られた盛岡の高校を訪ねたときのこと。

「試験の様子を見学させてもらうと、そこには試験監督の先生がいないのです。“誰もいなくて大丈夫ですか”と聞くと“うちは監督の先生はいません。そんなことをしたら生徒から軽蔑されます”との答えに、今時そんな学校があるなんて信じられませんでした。誰が見ていようがいまいが、自分で自分を律することができる、これが品格ではないでしょうか」。

天に恥じず、地に恥じず、将来の子どもたちを育てることに力を注ぎたい――教育の第一線をしりぞかれた樋口先生。今後はアネムグループで新しい形の教育に取り組もうとされています。これからのアネムグループにご期待ください。

中国の少数民族の子どもたちに学校教育を

民族衣装を着た納西(なし)族の女の子たち。
新校舎で勉強に励む子どもたち。生徒は低学年のみの40人ほど。
暗くて倒壊の恐れのあった旧校舎。
樋口顧問の寄付で新しくなった「九河郷高安治僑心学校」。大きな窓からは明るい日差しが差し込む。
名称には樋口先生の名前から“治”が一文字使われている。(右はアネムグループ取締役の北川雅洋。左の2人は校長先生夫妻)

樋口先生は、中国雲南省少数民族の子どもたちに教育支援活動を行うNPO法人「日本・雲南聯誼(れんぎ)協会」の顧問としても活躍されています。趣味の登山で中国雲南省麗江の聖山・玉龍雪山を訪れたことがきっかけでした。「麓の村を通ると貧しい人たちがたくさんいる。それなのに、自分だけこんな贅沢なことをしていていいのだろうかと思っていました」。

そんなときに目にしたのが「子どもに学校教育を」と呼びかける「日本・雲南聯誼(れんぎ)協会」発行のパンフレット。「物質的な豊かさに毒されているとさえ思える日本の青少年に比べ、雲南の僻地の子どもたちの置かれている状況はなんという違いだろうか。劣悪な教育環境に置かれている子どもたちが、より良い学習環境の中で勉強できるようになれば、私のささやかな善意は意味があるだろう」との思いから、自分の一生の記念に小学校を一つ建ててあげようと決意。ここ数年、冬休み期間に現地を訪れ、開校の準備にも力を注いでこられました。

「大国に成長しつつある中国との関係は非常に大切です。日本人と顔立ちも似ている中国の人々が日本に対して好意を抱いてくれるようなことをし続けていきたいですね」

2007年11月にはアネムグループの北川取締役も樋口先生に同行し、中国の教育現場を視察しました。今後、アネムグループは樋口先生と共に中国での教育支援活動に取り組んでいきます。小学校の建設に加え、運動場やトイレなどの環境整備、ノートや机といった物質的な援助、さらには教師の養成など、多岐にわたる支援内容を計画。また、中国と日本の子どもたちの交換留学といった人的な交流も支援していきます。まさに戦前の日本を思わせる現在の中国の辺境地区。将来、日本の隣国として多大な影響を持つと思われる中国への教育環境支援による相互理解と人材交流を始点に、今後、大きな活動へとつなげていきたいとアネムグループは考えています。

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