外貨準備高:6カ月連続減少、不安高まる(上)
米国に端を発する世界的金融危機の中で外貨準備高が引き続き減少を続けていることから、実際に使える外貨は十分なのかについて議論が起こっている。つまり政府がいつでも市場介入に投入できる実際の外貨準備はいくらなのか、ということだ。
一部の市場関係者は、「外債の構造を考慮した場合に実際に使える外貨準備高はわずか170億ドル(約1兆8000億円)」と主張した。これに対し政府は「9月末現在の外貨準備2396億ドル(約25兆3000億円)全額を直ちに投入できる」と反論している。
◆減少し続ける外貨準備高
「非常事態に備えた外貨」である外貨準備高は、今年3月の時点で2642億ドル(約27兆9000億円)だったが、その後は6カ月連続で減少を続けている。経常収支の赤字が続いている上に、7月以降は政府が為替介入に乗り出しているからだ。
米国の金融不安による需要の高まりでドルの調達が難しくなっていることから、韓国政府は先月26日に外貨準備から100億ドル(約1兆600億円)を市場に供給すると発表した。2日には中小の輸出企業や銀行向けに50億ドル(約5300億円)以上を追加で供給すると宣言した。どちらも実行に移されれば、外貨準備高は2300億ドル(約24兆3000億円)を下回るようになる。
金融市場では今後1年以内に満期が到来する流動外債が6月末現在で2223億ドル(約23兆4500億円)に達する点を心配している。金融機関や企業が借金を返済できない状況になり、政府が不渡りを防ぐためにこれらを一気に返済したと仮定すれば、結局政府の手元に残る外貨準備高はわずか170億ドルになるということだ。しかし、このように政府が民間の借金全額を返済するという極端な状況が現実となる可能性は非常に低い。
また流動外債の中には外資系企業の支店が海外の本社から借り入れた資金や、輸出業者が後から受け取る予定の輸出代金を担保に買い入れた為替ヘッジ用など、償還の負担のない「統計上の外債」も多く含まれている。
金融研究院マクロ経済研究室の申竜相(シン・ヨンサン)室長は、「外資系企業の支店が海外の本社から借り入れた資金や為替ヘッジ用などを除けば、韓国が実際に償還する必要のある外債の総額は1600億ドル(約16兆9000億円)ほどだ」と説明した。外貨準備高は2400億ドル近くに達しているため、たとえすべての外債を一時に返済したと仮定しても、外貨準備高は800億ドル(約8兆4400億円)の余裕があるということになる。
金起勲(キム・ギフン)記者
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