与野党の論戦が続く国会ですが、3日は当初、衆議院の「解散」があるのではないかと言われていました。3日の「解散」がなくなった背景には何があったのでしょうか。ニュース23・後藤キャスターの取材を元に検証しました。
Q.解散総選挙の日程について、新しい情報が?
「取材してみたところ、このままの状態で解散総選挙に突っ込んで勝てるのかと。少し様子を見たらどうかと」(ニュース23・後藤謙次キャスター 9月29日の番組より)
解散権は総理の“専権事項”です。しかし、その総理が決まる前から、新聞各紙には「10月26日選挙」、「10月3日解散」の見出しが躍っていました。
麻生総理は総裁選に圧勝した翌日、国対委員長の大島氏と会談しました。そこで一定の合意を見たのが、「11月2日に選挙」でした。10月3日の解散は変わらないものの、投票日が10月26日から1週間延びたことになります。
では、なぜ延びたのでしょうか。公明党幹部は内実を明かしました。
「我々に風は関係ない。あの小泉郵政解散の時でさえ、議席を減らしたんだ。時間をかけて、お願いして回るしかない」(公明党幹部)
つまり、10月26日では、「お願いして回る」には期間が短すぎたのです。
9月25日、後に「10月3日解散」、「11月2日選挙」が消える要因となる事態が、3つ起こります。国交大臣・中山氏の問題発言、票が取れる政治家の1人小泉氏の政界引退、そしてもう1つは麻生総理の訪米です。
「我が国は日米同盟を不変の基軸としながら、近隣アジア諸国との関係強化に努めて今日に至りました」(麻生首相 9月25日・ニューヨーク)
国連総会で日米同盟を強調してみせた麻生総理は、実はアメリカ政府関係者から、こんな要請を受けました。
「あなたの祖父は、今日の日米関係を築いた人だ。是非インド洋での自衛隊の給油活動を続けてほしい」(米政府関係者)
サンフランシスコ平和条約を締結した祖父・吉田茂。吉田を政治家の原点と言ってはばからない麻生総理は、この要請に大きく影響されたといいます。
さらにアメリカで直に感じた金融不安が解散の延期、つまり選挙の先送りに傾かせているのです。
9月29日、麻生総理に近いある人物は首相の気持ちを代弁しました。
「11月2日は消えた。9日もない」(総理周辺)
「10月1日から代表質問がありますが、この中で与党側の質問に対して、麻生さんがかなり明確なメッセージを送るのではないか。つまり中長期で取り組まなければならない課題について答えるということになりますと、解散はさらに11月2日じゃなくて、先に行く可能性が浮上してきた」(後藤キャスター 9月29日放送より)
そして10月1日の代表質問。麻生首相は明確なメッセージを送りました。
「補正予算の賛否、消費者庁法案への賛否、インド洋での補給支援活動継続への賛否であります。民主党の基本政策については日を改めて、私どもの主張と競り合いたいと思います」(麻生首相 1日)
「いずれも時間がかかる問題を解決すると。その賛否を小沢さんに問いてましたから、解散はさらに先へ行ってということが麻生さんの考えだと思いますね」(後藤キャスター 10月1日放送より)
「11月2日ではなく、9日もない」とした麻生総理。解散総選挙を急ぐ公明党幹部は3日、後藤キャスターの取材に、その事実を認めました。
「公明党がどうだこうだという話ではない。日程的には11月2日はもう無理ということだ」(公明党幹部)
(03日23:20)