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大相撲:八百長疑惑報道訴訟 朝青龍が否定 法廷証言、いら立つ場面も

 ◇「とても悲しい、真剣勝負でやっている」

 横綱朝青龍を中心に八百長が組織的に行われていると報じた週刊現代の記事で名誉を傷付けられたとして、日本相撲協会と力士約30人が発行元の講談社などに損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の口頭弁論が3日、東京地裁(中村也寸志裁判長)であり、原告の1人として出廷した朝青龍は「いずれも真剣勝負です」と八百長を否定した。現役横綱が出廷するのは極めて異例。

 問題となったのは、同誌が07年2月3日号から3回にわたって掲載した「横綱・朝青龍の八百長を告発する!」などと題する記事。朝青龍は、金銭授受を含む八百長報道を全面的に否定して「とても悲しい。真剣勝負でやっているのに残念です。見る目がないですね」と述べた。

 朝青龍の尋問に先立ち、過去に八百長を告白した元小結・板井の板井圭介氏が証人として出廷し「取組の80%が八百長。横綱、大関は70、80万円で星を買い、下位の力士は勝ち負けを貸し借りする」と証言した。しかし朝青龍は「信じないです。板井って見たことがない」と反論した。

 講談社側は大麻事件で解雇された元幕内力士、若ノ鵬(20)=本名ガグロエフ・ソスラン=を証人申請し「原告力士との八百長の詳細をまとめた若ノ鵬の陳述書を提出する」と述べたが、中村裁判長は判断を留保した。

    ◇

 午後2時過ぎ、朝青龍は水色の羽織姿で笑みを浮かべながら入廷した。満員の傍聴席に目をやり、特別に用意された4人掛けの長椅子に座ると「(報道は)全くのうそです」と日本語でよどみなく疑惑を否定していった。

 しかし、講談社側弁護士の質問に移ると声のトーンが一変、いら立ちも見せた。けいこ不足が報道されていることへの認識を尋ねた弁護士を指さし「なんであなたに答えるの。けがはあるし、それなりのことはやっている」と不満をあらわに。八百長報道後に戦績が落ちた理由を問われると「けがです」とむっとした表情で答えた。

 懸賞金の管理や帳簿の付け方を尋ねられると「週刊現代が付けているんじゃないですか」「懸賞金はスポーツ新聞に出ている」とぶっきらぼうに答え、傍聴席から失笑が漏れた。約1時間の尋問が終わると、再び笑顔を見せ、会釈しながら退廷した。【銭場裕司】

 ◇都知事が皮肉

 東京都の石原慎太郎知事は3日、会見で「現役の横綱が出ていって『あります』とは言わないだろう。相撲協会が『いっさい八百長はございません』と言い切れるだけのあれがあるのかね」と皮肉っぽく述べた。

 石原知事は1963年、作家としてスポーツ紙に大相撲の八百長疑惑を指摘する記事を掲載、日本相撲協会から名誉棄損容疑で告訴された(後に取り下げ)。【須山勉】

毎日新聞 2008年10月4日 東京朝刊

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