NTT東日本と西日本がブロードバンド(高速大容量)通信の契約者に貸し出していた機器を回収した際、再使用できるものを大量に廃棄していたことが会計検査院の調べでわかった。検査院は「廃棄した機器の代わりに購入した新品の代金は無駄だった」として、両社に対し07年度の1年間で13万個分、計4億円を節減できたと指摘した。
両社は、国が持ち株会社に出資しているため、会計検査院の検査対象になっている。
廃棄していたのは、既存の電話回線を使ってコンピューターをインターネットに接続するADSL(非対称デジタル加入者線)サービスを利用する際に使うモデム(変復調装置)という機器。契約者はサービス事業者から借りるか、自分で購入している。
検査院やNTT東西によると、サービス解約などにより契約者から回収した貸し出し用モデムのうち法定耐用年数に満たないものは、汚れを取り除いて別の契約者に貸し出したり、故障の際の代替機として使ったりできる。
ところが、両社はモデムの表面の汚れが取れないものを廃棄して新品を購入。NTT東日本は07年度に8万個、西日本は同5万個を購入していた。検査院は「ケースを取り換えれば再利用できた」として、新品の購入額とケースを取り換えた場合にかかる費用との差額の各2億円が無駄だったと指摘した。
両社は「検査は受けているが内容についてはコメントできない」としている。