昭和伊南総合病院(駒ケ根市)を運営する伊南行政組合(組合長・杉本幸治駒ケ根市長)などは3日、県庁を訪れ、同病院の救命救急センター存続のため、医師確保への協力を求める要望書を村井仁知事へ提出した。村井知事は医師確保対策は全県的に苦慮している状況を説明した上で、「上伊那地方など地域全体の医療体制の構築を図っていくべき」とし、県も積極的に協議に加わっていく意向を示した。
要望書は伊南行政組合を構成する4市町村の首長と、各市町村議会議長、同院長の連名で提出。県救急医療機能評価委員会が同病院の救命救急センターについて「機能が不十分」と評価したことについて、評価の一因となった医師不足は、過去に県の指導に基づき連携強化病院へ医師を集約した結果と主張し、県に対し重点的な対応を求めた。
杉本市長は「評価委の評価を受け、地域には病院がなくなってしまうのではとの危機感も大きい。住民が安心できる地域医療の確立に、ともに取り組んでほしい」と要望。他の町村長らからは、評価が同組合への報告前に報道されたことや、センターの不備な点ばかりが強調されるなどとして「住民不安が高まり、県に対する不信感にもつながりかねない」との不満も示された。
これに対し、村井知事は「上伊那地方の公立3病院はそれぞれ大切な役割を担っている。救命救急センターを含め、高い視点で、3病院の機能分担や連携を協議してほしい。県としても評価結果に対する今後の対応について、皆さんとよく相談させていただきたい」と述べた。報告の手順などについては「気持ちは分かるが、報道を管理することは難しい」とした。
終了後、杉本市長は取材に対し、「地域医療を守るためには広域的な協議が必要。県のリーダーシップに期待したい」と述べた。