富士見町の県厚生連・富士見高原病院(井上憲昭院長)は、2009年4月からの分娩取り扱い再開を目指し、準備を進めてきたが、再開は困難な状況であることが3日、明らかになった。昨年3月に着任した産婦人科の深井宣子医師(52)が年度内に退職するためで、新たな産婦人科医の確保に向けた努力を継続するが、全国的な医師不足のため、めどは立っていない。
深井医師は取材に対し、茅野市の諏訪中央病院が6月から産婦人科を再開し、お産の「受け入れ態勢が整ったことが大きな要因」と退職の理由を説明。諏訪中央病院が茅野、富士見、原の3市町村をカバーすることで、富士見高原病院の医師として分娩を再開する「役目は終わった」と判断したという。産婦人科医の常勤2人態勢への「ハードルは高すぎた」とも語った。
常勤は12月末だが、来年3月末までは婦人科の外来診療をこれまで通り週4日担当する。井上院長は、4月以降の婦人科外来について「継続できるよう努力する」とし、山梨大学、信州大学の医学部と周辺の病院に対し、パート医師の派遣などの支援を求めている。
富士見高原病院は04年8月に産婦人科の常勤医師が開業に伴い退職。医師の確保ができず、分娩の取り扱いを中止してきた。05年5月には小児科の常勤医師も退職した。深井医師は昨年3月に着任し、4月から婦人科外来を再開。今年4月には小児科の常勤医師2人が着任し、再開に向けた準備は整いつつあった。
同病院は、産婦人科医が1人体制のため、急患に対応できるよう、病院内に医師の居住施設を確保。当時は町所有だった医局棟の2階を居住施設に改修した。事業費2200万円の半分は町が地域医療推進事業として補助した経過がある。