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通貨オプション損失対策に税金投入へ(上)

 韓国政府と銀行業界がついに企業の通貨オプション損失支援に乗り出した。1兆7000億ウォン(約1520億円)に達する通貨オプション損失で中小企業の連鎖倒産が起き、銀行の不良債権が発生することを防ぐための苦肉の策だ。

◆銀行と企業の欲が生んだ損失

 しかし、損失はもともと為替差損のヘッジ商品を乱用し、もうけようとした一部企業の投機心理とそれに便乗して手数料収入を得ようとした銀行の「欲」から生じたものだ。それを埋め合わせるのに国民の税金が投入される可能性が高まり、論議を呼んでいる。

 通貨オプション取引のうち、今回問題になっているノックイン、ノックアウト(通称KIKO)と呼ばれるタイプのヘッジ取引は、為替変動が予想されるとき差損発生を防ぐために使われる為替ヘッジ用のデリバティブ商品だ。通貨オプション取引に手を出す中小企業が増えたのは企業がウォン高に苦しんでいた昨年下期だった。当時のウォン相場は1ドル=907‐950ウォンで、さらにウォン高が進むという不安感が高かった

 正常な為替ヘッジ目的ならば、実際の輸出額の50%程度を契約するのが一般的だが、通貨オプションで損失を出した企業の12%は輸出額の平均167%に達する額の契約を結ぶ「オーバーヘッジ」を行っていたことが、金融監督院の調べで分かった。代表的な犠牲者として挙げられる泰山LCDは160%を超えるオーバーヘッジ状態だった。

チョン・チョルファン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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