電気料金:大幅値上げ見通し 燃料高騰分転嫁で09年1月

 「第3次石油ショック」といわれる原油高騰で、燃料費がかさんだ電力各社の電気料金値上げが続いている。東京電力は昨年10~12月分から4四半期連続で値上げし、「標準家庭」の月額料金が7月以降6797円に上昇、昨年7~9月比で453円も高くなった。他の電力各社の現行料金も中部が昨年7~9月比606円高の6992円、沖縄が548円高の7675円、北陸が498円高の6769円で、上げ幅が一番小さい九州も144円高の6391円だ。

 70年代の石油ショック時の値上げもすさまじかった。当時の電気使用量は現在の5~6割程度だが、現行の「標準家庭」の使用量を当てはめると、東電は74年6月に一気に1369円値上げし5032円へ、80年4月には2846円高の8905円へ値上げした計算になる。いずれも原油急騰が原因で、現在より石油を燃料とした火力発電への依存度が高かった分、値上がりも激しかったようだ。

 その後、原子力への転換など燃料の「脱石油」が進み、発電量に占める石油火力の比率(電力10社)は80年度の43.1%から06年度は7.8%に低下。原油価格が80年代後半~00年代初頭まで1バレル=10~20ドル台で推移したこともあって、東電は04年10~12月に6142円まで値下げした。

 昨年来の原油高は四半期ごとの燃料価格(通関ベース)の変動を半年後の料金に反映させる「燃料費調整制度」によって料金に転嫁されている。北陸、中部を除く電力8社は9月、燃料高騰分をより転嫁しやすくなる電気料金の改定に踏み切り、来年1月には大幅値上げとなる見通しだ。

 ただ、政府内では「国民の理解を得ず、一方的に値上げするのはおかしい」との声があり、年明け以降の料金設定には流動的な要素もある。

毎日新聞 2008年10月3日 21時22分

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