全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)では2007年10月、一定の精度をクリアし、同意の得られた施設の部位別5年生存率を公表いたしました。2008年は主要部位の5年(相対)生存率(1997年〜2000年診断治療症例)ならびに1999年、2000年の2年間のデータを合わせて、施設別5年(相対)生存率(胃・肺・乳・大腸・子宮頸)を算定し、昨年と同様に一定の精度をクリアした施設、同意の得られた施設のみ、その結果を公表することにいたしました。単年集計の施設も含まれています。また、進行度はUICCのTNM分類による臨床病期を用いましたが、施設により地域がん登録で用いられる臨床進行度で掲載している施設もあることをご承知おきください。今回は2年間のデータを用いることにより子宮頸がんの施設別生存率が算定可能となりました。
昨年の公表に向けての取り組みの中で、これまで各施設で収集していた院内がん登録データと各診療科が持っている診療科データとの照合が十分にできていない施設の存在が明らかとなりました。そうした施設では院内がん登録の精度向上に向けての取り組みが開始されています。今回も多くの施設のご協力のおかげで、昨年より公表に同意いただいた施設が増加いたしました。とはいっても施設により登録精度に若干の問題があることも事実ですし、5年生存率のみで治療の質を判断できるわけではありません。それは施設により患者さんのがんの進行度や患者さん自身がもつがん以外の合併症、年齢構成等に差があるからです。そうしたことが多少なりとも判断できるように様々な情報を開示してあります。各施設の生存率をごらんになる場合は、このホームページ上のいろいろな解説、各施設のコメントを十分にお読みいただき、生存率の数字のみにとらわれることのないようにお願いいたします。
全がん協加盟施設の院内がん登録精度向上への本格的な取り組みが開始されています。数年後には拠点病院においても、院内がん登録データを用いて生存率が算定可能になりますが、十分な登録精度で生存率を解析できるようになるにはまだまだ時間がかかります。拠点病院におかれましては、院内がん登録データと各診療科データとの整合性をとる体制を早期に構築していただきたいと思います。また国におかれましては、2009年3月から始まる予定のがん診療連携拠点病院の全国集計を受けて3年生存率の調査は2011年12月を目処に行われるものと予想されますので、それまでに生存確認(追跡)調査が確実に行われる仕組みを構築し、拠点病院に対してその方法をご教示いただきたいと思います。