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- 最新号:2008-10-03
- 発行周期:日刊
- 読んでる人:2278人
- 創刊日:2000-08-22
- Score!:97点
- コメント数 : 11
- メルマガID:14850
- バックナンバー:最新号のみ
- 発行者サイト:あり
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日刊デジクリ[#2507] だまされる喜びと心地よさ
発行日: //
<頭で考えたことよりも手が出した結果を信じる>
■映画と夜と音楽と…[391]
だまされる喜びと心地よさ
十河 進
■うちゅうじん通信[30]
うちゅう人は予言好き
高橋里季
■ところのほんとのところ[3]
再出発となる個展
所 幸則
■セミナー案内
ボーメ〜アーティストデビュー10周年記念展〜
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■映画と夜と音楽と…[391]
だまされる喜びと心地よさ
十河 進
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20081003140400.html >
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●最後の「どんでん返し」だけに賭けたような映画がある
少し前のことだが、昔なじみのデザイナーのKさんから電話がかかってきた。
Kさんは、芝居のポスターやパンフレットの仕事を昔からレギュラーでやって
いて、今回は、ロベール・トマの推理劇「罠」を担当したという。そのパンフ
レットに「どんでん返しで有名な映画を紹介してほしいという原稿依頼が、担
当者からいくかも…」という話だった。
ロベール・トマの名を知らなかったので調べてみたら、「8人の女たち」
(2002年)の原作者だった。雪に閉ざされた邸宅で主人がナイフで背中を刺さ
れて殺されるという古典的設定の中、女主人や愛人や娘や召使いなど8人の女
たちが登場して「犯人は誰だ!」が展開される映画だった。確か、ミュージカ
ル風にしていたんじゃなかったかな。
僕は、エマニュエル・ベアールが出ていたからWOWOWで放映されたときに何と
なく見ていただけなので、実はよく憶えていない。エマニュエル・ベアールは
メイド服に身を包み、少しオーバーな演技をさせられていた記憶がある。今時、
孤絶した大邸宅を舞台にした犯人捜しドラマという大時代な設定は、ストレー
トに映画化したら戯画にしかならないだろう。
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」は何度か映画化されている
が、あれを、現在、そのまま映画化しても噴飯ものになる気がする。だから
「名探偵登場」(1976年)みたいに本格派推理小説のパロディの形にしてしま
うのではあるまいか。閉ざされた空間での不可能犯罪(密室殺人が多い)は、
今や「金田一少年の事件簿」「名探偵コナン」といったマンガ(アニメ)でし
かリアリティを持たないのかもしれない。
そう言えば、一時期「金田一少年の事件簿」にはまり、集中的に単行本を読ん
だ。僕の最近のマンガの読み方は、単行本集中読破型になっていて、「あずみ」
「モンスター」「はじめの一歩」なども一日3巻くらいのペースで読んだ。
「金田一少年の事件簿」を読んだのはけっこう前のことになったけれど、どの
エピソードも面白かった。
しかし、ミステリ・ジャンルは、あるパターンが確立している。本格推理もの
ならトリックが命だが、「金田一少年の事件簿」でも端的なように、外界から
孤絶した環境、曰くありそうな登場人物たちとたまたま一緒になった名探偵、
そこで起こる連続殺人事件といったパターンである。ハードボイルドでは、探
偵が失踪人の捜索依頼を受けるパターンが王道である。
ただし、どんな場合もミステリでは結末に「どんでん返し」が必要だ。アガサ・
クリスティやエラリィ・クィーンの作品ではアッと驚くトリックの解明がある。
ハードボイルドの雄、ロス・マクドナルドの作品では複雑な人間関係が明らか
にされ、意外な動機が明かされる。
ミステリを読む愉しみは、この結末の意外性にあると言い切ってもいいくらい
だ。だから、あっさり終わると、肩すかしを食った気になる。「期待はずれ」
という評価になる。映画では、この最後の「どんでん返し」だけに賭けたよう
な作品がいくつかある。
●途中入場を禁止したアルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」
Kさんから電話があった後、僕はこんなメールを送った。「どんでん返しで有
名なのは、舞台劇が多いですね。アガサ・クリスティの『検察側の証人』。ロ
ンドンでロングランしている舞台は同じクリスティの『ねずみとり』だったか
な。アイラ・レビンの『デストラップ』も『探偵/スルース』も舞台劇のはず
です」
メールには思い付くままに書いたのだが、どの舞台も最後のどんでん返しが確
かに凄い。だまされた快感と驚きに身をゆだねることになる。「えーっ、そう
だったのか」と叫び声を挙げる人もいるだろう。僕はすべて映画化作品で見た
が、最初に見たときは本当に驚いた。「うまい!」と拍手した。
「検察側の証人」は名監督ビリー・ワイルダーが映画化し「情婦」(1958年)
のタイトルで公開された。女たらしの男が殺人容疑でつかまり、老弁護士が事
件を担当する。しかし、なぜか男の妻は検察側の証人として裁判に現れ、夫に
不利な証言をする。有罪になりそうな状況になったとき、ある手紙が届き弁護
士は男の無実を証明するのだが…、という物語だ。
「情婦」はマレーネ・ディートリッヒが妻を演じている…と書くこと自体、ど
んでん返しのネタをバラすことになりかねない。同じように「探偵/スルース」
(1972年)はローレンス・オリビエとマイケル・ケインのふたりだけのスリラ
ー劇と紹介されるが、そのことで肝になるトリックをバラしてしまっている。
という具合に「どんでん返し命」の映画は、紹介が難しい。
僕は、最初に途中入場を禁止し「この映画の結末は絶対に話さないでください」
という広告を打ったのはアルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」(1960
年)だと思っていたのだが、アンリ・ジョルジョ・クルーゾー監督作品「悪魔
のような女」(1955年)の公開時、本編の最後に「この映画のラストをくれぐ
れもお友達には話さないでください」というタイトルが出たという。
「サイコ」も「悪魔のような女」も初めて見た人は、間違いなく最後でびっく
りするだろう。しかし、これだけ有名になってしまうと、事前に情報が入って
しまった人が多いかもしれない。ちなみに「悪魔のような女」は夫の愛人と妻
が共謀して横暴な夫を殺す話だが、アイラ・レビンの「デストラップ/死の罠」
(1972年)は同じトリックを使った逆パターンである。レビン23歳の処女作
「死の接吻」のようなオリジナリティは感じられない。
さて、ロベール・トマの「罠」は、新婚旅行でホテルにやってきた夫婦がケン
カをして妻が出ていき、夫が警察に捜索を依頼すると、数日後、神父が妻を連
れてくるが、その妻は全くの別人だったというストーリー。しかし、警部やホ
テルのボーイや周囲の人々など、夫以外はみんなその女を彼の妻だという。一
体なぜだ〜、と観客は夫と共に迷宮に迷い込む。
「罠」のキャストは、夫が川崎麻世、妻を池畑慎之介が演じている。警部役は
上條恒彦だったかな。サンシャイン劇場での東京公演はこの号が出る頃には終
わっているが、たぶん地方公演があるのだろう。残念ながらパンフレットに僕
の原稿は載っていない。Kさんからは「掲載スペースがなくなっちゃって」と
丁寧な詫びの電話が入った。
●ヒロインの驚愕の告白に向けてすべてが仕掛けられた映画
トマの「罠」のストーリーを聞いて思い出した映画がある。その映画を僕は見
ていないのだが、和田誠さんの本でイラストと簡単な紹介を読んで見た気にな
っている。和田さんは、その本(たぶん「お楽しみはこれからだ」)で「どん
でん返し」を明かしていて、それを読んだだけで僕は愉しめた。最後のヒロイ
ンの驚愕の告白に向けて、すべてが仕掛けられている映画である。
その映画は「生きていた男」(1958年)という。金持ちのヒロインがいる。そ
の屋敷に見知らぬ男が我が家のように住み着き、「きみの兄じゃないか」と言
う。兄は一年前に事故で死んだはずだ。ヒロインは警察を呼ぶが、署長が調べ
ると男の持っている書類はすべてヒロインの兄であることを証明している。召
使いや叔父までが、彼を兄だという。
トマの「罠」に設定は似ているが、こちらの方が少し早いらしい。ヒロインの
一人称的な視点で描いているようだから、観客はどんどんヒロインに感情移入
し、何か陰謀が巡らされていると感じて疑心暗鬼に陥るのだろう。そして、心
理的に追い詰められたヒロインは、最後に予想外のセリフを言い放つのだ。
しかし、こういう手は一回しか使えない。もっとも、僕はこういうアイデアを
ひたすら考えている人は好きだなあ。そうはいっても、なかなか新手はない。
そこで、どうしても先行する名作を踏襲することになる。最近見たのでは「オ
ーシャンズ13」(2007年)がそうだった。
「オーシャンと十一人の仲間」(1960年)をリメイクした「オーシャンズ11」
から始まったシリーズだから、元々、先行する名作を下敷きにしているのだが、
才人スティーブン・ソダーバーグ監督はどれも楽しい映画に仕上げている。し
かし、「オーシャンズ13」は僕には「スティング」(1973年)のリメイクのよ
うな気がした。
物語の基本構造が「スティング」と同じで、「おいおい、FBIに目をつけられ
たぞ。大丈夫か」と観客がオーシャンたちに知らせたくなる部分は、そっくり
そのまま「スティング」と同じ手を使っている。もっとも、僕は「オーシャン
ズ13」ですっかりだまされた後に「スティング」と同じだと思ったのだから、
充分に愉しんだのではあるけれど…。
「スティング」は、まさに観客を欺く映画である。ある悪党を詐欺師仲間が大
がかりな仕掛けでだまして金を巻き上げる話だが、だまされる悪党(ロバート・
ショー)と一緒に観客も見事にひっかけられる。これは、ミステリ映画のどん
でん返しとは違って、意外性に驚くというより「ひっかけられたカタルシス」
のようなものが味わえるし、後味がいい。このジャンルのもの(コンゲームも
の)は楽しい映画が多い。
その中でも忘れられないのが、「テキサスの五人の仲間」(1966年)だ。テキ
サスの富豪たち五人が集まって行う年に一度のポーカー。そこへ子供を連れた
旅の夫婦が紛れ込み、掛け金の高いポーカー勝負を展開する。しかし、夫は負
け続け、とうとう倒れてしまう。しかし、ここで負けたら全財産をなくしてし
まうと、悲壮な覚悟でポーカーのことを何も知らない妻(ジョアン・ウッドワ
ードの名演です)が跡を継ぐ。
その妻にもの凄い手がきたらしい。しかし、掛け金がない。妻は、そのポーカ
ーの手を担保に銀行から金を借りようとする。そのカードを見た銀行家は大き
くうなずいて、「この手ならいくらでも貸しますよ」と太鼓判を押す。カード
を伏せたまま、掛け金はどんどんつり上がっていく。さて、どんなどんでん返
しが…。
映画で見ている分には、うまくだまされれば快感があり、予想外の結末だと心
地よささえ感じるが、実際にだまされたときはそうはいかないだろうなあ。僕
は今まで人をだましたことはないと断言したいところだが、結果としてだまし
たことになる場合はあったと思う。誰かを傷つけても自覚がないのと同じで、
誰かをだます結果になったとしても人は気付かない。
しかし、人から傷つけられたことはずっと忘れないように、だまされたことや
裏切られた傷は、過剰なほど敏感に記憶に残っている。「えーっ、そんなあ」
と大声をあげたことが、些細なことを含めれば僕にも数え切れないほどある。
実生活でも「うまくだましやがったなあ」と笑っていられるほどの人間になり
たいものだが、なかなかそこまでは悟れない。
【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com
もう10月です。急に涼しくなってネクタイを締め、ジャケットを着るようにな
りました。3ヶ月くらいネクタイなしだったので最初は首が苦しいのだが、直
ぐに馴れました。元々、スーツ姿は嫌いではない。
●305回までのコラムをまとめた二巻本「映画がなければ生きていけない1999-
2002」「映画がなければ生きていけない2003-2006」が第25回日本冒険小説協
会特別賞「最優秀映画コラム賞」を受賞しました。
< http://www.bookdom.net/shop/shop2.asp?act=prod&prodid=193&corpid=1 >
受賞風景
< http://homepage1.nifty.com/buff/2007zen.htm >
< http://buff.cocolog-nifty.com/buff/2007/04/post_3567.html >
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■うちゅうじん通信[30]
うちゅう人は予言好き
高橋里季
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20081003140300.html >
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こんにちは。イラストレーターの高橋里季です。気持ちの良い季節になりまし
たね。
先日、テレビで特集番組になっていた「ニュートン・コード」。つい、(塚原
一成著/角川学芸出版)を買ってしまいました。しまいましたというのは、同
じような内容の「ニュートンの予言」(中見利男著/日本文芸社)を昨年、読
んだからです。
内容としては、最近になって見つかったニュートンの直筆文書から、科学者ニ
ュートンが、秘密裏に錬金術師としての研究に精通していて、聖書研究などか
ら、「2060年に世界は滅亡する」と予言する手記を残しているという話です。
この二冊は、映画になったダヴィンチ・コードのような、物語り仕立てのミス
テリーにはなっていないところが好きです。二冊とも、ジャーナリストがニュ
ートンをめぐる「秘密文書」について調べる過程をドキュメンタリーで報告す
る感じの本です。
物語り仕立てになっていない分、ニュートンの直筆文書にまつわる史実などが、
たくさん書いてあります。聖書(ダニエル書、エゼキエル書、ヨハネの黙示録
など)からの幻想的で美しい引用や、ユダヤ教、キリスト教、フリーメーソン
の歴史とか。「ニュートンの予言」の方は、アルブレヒト・デューラーの絵が
載っていたり、ニュートン直筆文書は、カラーで大きく載っていて、嬉しかっ
たです。
それで、科学者ニュートンは、ハレー彗星が、2060年に太陽にぶつかって、太
陽のフレアで地球が打撃を受けるって予言しているの……というのは、本を謎
解きとして楽しみたい読者には、内緒にしておいたほうがいいかも? だけど、
もうテレビでやってたし、ニュートンが彗星の軌道を親友のハレーと一緒に考
えたりしていることと、聖書の予言が結びついているところがワクワクするの
で、もう、書いてもいいかな? と思って。
知らなかったわ。最近では、1989年、直系800メートルの小惑星が地球にぶつ
かりそうになっていて、ぎりぎり通り過ぎて行ったんだけど、この通過があと
6時間遅かったら、地球に激突するという滅亡の危機があったんですって。な
どなど、科学でなんとか回避できるの? っていうような危機は、21世紀にも
思ったよりずっと多くて深刻。温暖化もそのひとつだし、新種のウィルスとか、
いろんな「危ない心配事」があるらしい。
テレビでは、ニュートンの予言が実現するとして、太陽のフレアから地球を守
るには、10万発の核ミサイルが必要だと学者さんが説明していたり、私の大好
きな「宇宙に行くエレベーター」の話も紹介されたりして、私は、「いいぞ!
科学!」とか、子供のようにワクワクするのでした。
書店でサイエンスの新書の本棚の前に行くと、「これ、全部読みたいなー。」
と思う。DNAとか脳とか宗教とか歴史とか宇宙の不思議とか。だけど、自分な
りの読書の仕方というのは、ある意味、人生に関わる問題なので、つまり、そ
うゆうの読むだけで人生の時間をほとんど使っちゃっていいのかということな
んだけど、私としては、我慢する方向を選択。創り手、クリエイターとしての
時間の使い方をいつも考えています。専門家になろうとすると、やるべきこと
がどんどん見えてきて、時間は本当に足りない感じ。
そういう「クリエイター」の時間の使い方のコツで、たとえばイラストレータ
ーになりたい人は、「何を描くべきか」で迷っているヒマはないということが、
大切だと思います。アレを描こうか、それともコレか。アレは一般ウケしそう
だけど、自分としてはコレが好きだとか思う時には、とりあえずアレを20枚、
コレを20枚描いてから、どっちがプロとして勝負できるか、という比べ方をす
るのが、正解のような気がします。
それで、客観的に、アレが52点、コレが48点だったら、(迷う時というのは、
どっちも大差ない場合が多いような気がするの)私だったら、自分の志向や好
みなど、頭で考えたことよりも手が出した結果を信じる。「アレで勝負しろ!」
って、無意識が言ってる。客観的に、頭を使ってみたり、体感としての手を信
じたり、スイッチを上手に切り替えながら、止まらないのが一番重要かな。っ
て、いつも思っています。途中で、誰かに何かを頼まれて描く時は、「神様の
お導きかもしれない。」とチャンスを最大限活かすようなつもりで描きます。
ニュートンの人柄を本で読むかぎりでは、研究室に籠ってほかのことは一切お
かまいなしの人。私も、一週間、誰とも口をきかなくてもわりと平気な方なの
で、ニュートンはいいなぁと憧れて、読書中は「もう、ずっと好きな本を読ん
で暮らすんだわ。」と本気で思っている私。
おもいっきりリラックスして本を読み終えると、あ、名刺の整理しなくちゃ、
とか我に帰る。気持ちの良い季節なので、いちにち上野公園を散歩して洋食屋
さんで食事してと思いつつ、きっと季節が変わる。毎年そうなの。でも、ニュ
ートンの2060年予言の本を2冊も読んだんだから、読書の秋は、満足です。
【たかはし・りき】イラストレーター。riki@tc4.so-net.ne.jp
・高橋里季ホームページ
< http://www007.upp.so-net.ne.jp/RIKI/ >
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■ところのほんとのところ[3]
再出発となる個展
所 幸則
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20081003140200.html >
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「渋谷1sec(ワンセコンド)瞬間と永遠」写真展、かなり好評で4日間で250人
くらいかな。だけど、もっとプロが来てくれてもいいと思うなあ、出版社、広
告代理店とかさ。今コレを書いてるのは5日目です。さっき「コマーシャル・
フォト」の編集長が来てくれました。
今回思ったのは、みんなネットレベルや小さな告知を見て、どんな写真かわか
った気になってる(そして現物は見ない)って人が多いってことだ。見に来た
人はほとんどが、ビックリして帰って行く。
シークレット渋谷ルームはもちろんだが、それも相当みんなの予想を超えてい
るようだ(ぼくの予想も超えているぐらいだしね)。まさに僕が撮った、その
ときのその場所に居合わせたような感覚、残像が残った世界に舞い込んだよう
な錯覚すら憶えるようです。ぜひ現場に立ってみて下さい。
前回のテキストの中で、このカメラじゃないと撮れない理由を書くって予告し
たので、その話を少し。カメラというやつは特にプロ用のソレは、街にもって
出るとそれなりに威圧感があるので、ところスタイルのランドスケープ、街が
主役だけどそのアクセサリーのように人や車が自然に絡まるような、という狙
いの撮影が不可能になってしまうんです。
回りの人まで気づいて、空気が変わっちゃうからね。今回の場合できる限り、
写真撮ってるぞ感が出ないほうがいいんです。
そこにあらわれたのがDP1でした。カメラとしては、プロ機材並みに扱いは難
しいけれど、画質はいいし、とにかく小さい。ほんとこれを車止めの上に置い
て撮影してても、まったくその場の空気を乱さない、僕自身が目立つというこ
とがあるけれど、逆に僕に目が行ってしまってカメラに気がつかない感じで。
小さくて高画質、いうのは簡単だけど、人によって基準違いますよね。DP1の
小さくてっていうのも、高画質っていうのも、ぼくにはハマったってことです
ね。どれぐらい高画質かっていうのも、見てもらうしかないんで。ぼくのプリ
ント見てみて下さいな。
「渋谷1sec(ワンセコンド)瞬間と永遠」写真展
< http://www.renovationplanning.co.jp/gallery_conceal/shibuya4f/ex.html >
日時:9月28日(日)〜10月4日(土)11:00〜23:00
場所:Gallery Conceal Shibuya 4F(ギャラリーコンシール渋谷)
東京都渋谷区道玄坂1-11-3 4F TEL/FAX.03-3463-0720
渋谷駅から徒歩3分です。A-ROOMとB-ROOMです。
A-ROOMではバライタプリントによる作品の展示。B-ROOMでは特殊な大型出力。
トークショーは10月4日(土)19時半から、ゲストは田中力弥さん(ロッキン
オンジャパン、アートディレクター)と桑山輝明さん(シグマ)です。
テーマは、渋谷と写真について語る&DP1について、ですね!
もう一つの保留にしていた、僕が海外にいくならベルリンかパリかの話ですが、
もともと学生時代の恩師に一回ぐらいNYに勝負しに行きたいって相談していて、
君はベルリンが向いてると思うよ〜って話をされていた時に、ちょうどベルリ
ンのギャラリーに行ってみませんか? という話が来たのでチョットその気に
なってたんです。
で、再スタートならモノクロで作品一つまとめますか! って思って撮ってた
ら、そこに偶然フランス在住30年の画家の友人がぼくんちに遊びに来たので、
ベルリンで写真見せて来るんだーって言ったところ、「なんであんな食い物が
まずい国に〜、パリでいいじゃんかー」と暴れる友人(笑)。
パリ向きじゃないないようなので、と言ってこのシリーズを見せたら、「すっ
ごいパリ向きじゃんかあー」と。あっ、そうかー、再スタートしたシリーズは
パリでもいけるか!
とまあそんなことがあって、パリに向けて頑張ろうかなって思ってた矢先に、
友人のアートコーディネーターが、渋谷で個展する場所押さえましたよ! と
言ってきたんです。しかも9月末、あと2か月じゃないか、それにまだ作品は7
〜8枚しかないし、個展は無理だよーって思ったけど。「渋谷撮ってるんだし、
カッコいいし、まず渋谷の人に見せましょうよ!」うーん、説得力あるかなっ
と思い始めてこの夏は頑張って撮りましたよー。
ということで、ぜひ写真展&トークショー参加くださいね。
【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則
< http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト
< http://tokoroyukinori.com/ >
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■セミナー案内
ボーメ〜アーティストデビュー10周年記念展〜
< http://www.parco-art.com/web/factory/bome0810/index.php >
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20081003140100.html >
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会期:10月3日(金)〜10月20日(月)10:00〜21:00 最終日18時
会場:パルコファクトリー(東京都渋谷区宇田川町15-1 パルコパート1 6F
TEL.03-3477-5873)
入場料:一般300円、学生200円、小学生以下無料
内容:カルティエ現代美術財団をして「キング・オブ・オタク」と言わしめた
美少女フィギュア原型師の、初期作品から最新作まで約80点を一挙公開。
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■編集後記(10/3)
・中学校のときのテストで、相撲は□技である、という問題に「国技」と書い
て×だった。そのときの正解は「格技」であった。大相撲はまぎれもなく日本
の国技である。その国技で「品格力量抜群に付き」と推挙された"問題の外国
人横綱"が、「八百長疑惑」で今日法廷に立つ。おもしろくなってきた。それ
は置いといて、次の九州場所から名物の座布団投げが見られなくなるという。
座布団投げは、番狂わせがあった時などに見られる大相撲観戦の麗しい習慣で、
この伝統的な振舞いを見るのはけっこう好きだ。その座布団を長方形2人用に
変えたうえヒモで連結し、投げ込みにくい形状にした。理由は危険防止。味気
ないことになった。武蔵川理事長になってから、立ち会いのルールが厳格化さ
れ、やり直しが何度もあったのが九月場所の特徴だった。たしかにいままで、
これはズルい立ち合いだと思ったこともあったから、けっこうなことだ。この
際、立ち合いでの変化は禁止、なんてことにならないか、なるまい。それにし
ても、あんな見苦しい勝ちは他にない。観客の特大ブーイングで、二度とやる
まいと思わせるしかないか。思うか、思わんだろうな。その秋場所は白鵬が連
覇したが、千秋楽を待たずに決まるとはまことに興醒め。ひさしぶりに日本人
力士に優勝してもらいたかった。大きな声では言えないが、誰しもが思ったの
は「魁皇、空気を読めよ」ではなかったろうか。 (柴田)
え、相撲って国技じゃないの?
<http://r25.jp/magazine/ranking_review/10002000/1112007112212.html>
「国技」をめぐる日本と世界の不思議な事情(R25.jp)
・届いたホームベーカリーを見てすぐに、弟がつぶやいたこと。プラスチック
の段差が見ただけで分かる。製品表面の金型は、車の精度は場所によるけれど
0.01ぐらい。家電で0.001ぐらい(0.001は難しいはず)。けれど、このホーム
ベーカリーは0.1ぐらいだろう。ビスの数も多く、これは人件費が安いところ
で作っている証拠。人件費の高いところなら、ラインで組み立てられるように
はめこみや溶着になる。ビスだと均一化にも劣る。ビスの数が多いとゆるんだ
りするので、車などでは避ける傾向にあり、ホームベーカリーも、振動の大き
いものなので避けるのが一般的。穴を開けているってことは、それだけ強度も
下がる。ふたにガタつきがあったりして、本当に松下製品なのかと疑い、品番
などが書かれてあるプレートを見ると中国製。んー、なるほど。安いわけだ。
中身もシンプルで、電熱線のようなものが一本。他にもいろいろ突っ込んでい
たが割愛。あ、ナショナルだったよ〜♪ (hammer.mule)
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