不祥事の連鎖で混迷する大相撲に、ようやく新たな風が吹き込むことになった。元力士ではない外部役員の誕生を、問題の背後にある閉鎖性、独善性を正すための大きな一歩とすべきだ。
日本相撲協会がやっと外部役員の導入を実現させた。文部科学省の要求などを契機に、外部からの登用の必要性が指摘されるようになって、遅ればせながら踏み切ったのである。これまで相撲協会は力士経験者だけで運営を行う形を守ってきたが、ここへきて、ついに体制刷新を受け入れざるを得なかったというわけだ。
人気プロスポーツであると同時に、伝統文化を継承していく役割も担う大相撲だけに、力士経験者のみの運営にもそれなりの意味があったとはいえる。だが、これだけ問題が相次ぎ、その背景に抜きがたい閉鎖体質があるのが明らかになったいま、もう旧来のやり方に固執するのは許されない。自浄能力に疑問符がついている以上、外部の人材の登用は当然の帰結であり、協会はこの画期的な出来事を本格的な改革へのテコとする覚悟を持つべきだ。
今回起用されたのは三人で、東大名誉教授、元高検検事長が理事に、元警視総監が監事になった。理事では十一人の中の二人にすぎないが、その責務は重い。相撲界にまかり通る仲間うちの論理や一般社会では通じない非常識を遠慮なく指摘していくことがまず求められる。大麻汚染が明らかになった件でも、再発防止検討委員会の外部委員の存在が大きかった。できる限り外からの風を吹き込むのが外部役員の使命だ。
ファンの声を伝えるのも大事な役目となる。これまで相撲界は、支えてくれるファンの思いにこたえようという感覚に乏しかった。外部役員には、ファン代表の意識を常に持っていてもらいたい。
相撲界の側は、一般社会の常識や考え方に謙虚に耳を傾けねばならない。相撲のことは力士でなければわからないという意識のままでは苦境を乗り切れないのは、不祥事が一向に止まらないことで明らかだ。ここは思い切った意識改革がどうしても欠かせないのである。
新たにトップの座についた武蔵川理事長は、就任以来、強い危機感を持って問題に対処しているようだ。改革へ、外部役員の誕生はまたとないきっかけになる。閉鎖社会に開いた風穴をただの飾りにしてはならない。
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