MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

【主張】年金記録改竄 組織的関与の解明を急げ

2008.10.3 03:37
このニュースのトピックス主張

 社会保険庁が明らかにした厚生年金保険料の算定基準となる標準報酬月額(月給)の改竄(かいざん)が政治問題化している。その疑いのある記録は6万9000件だが、加入期間が短くされていたケースなどは含まれておらず、氷山の一角とみられる。

 改竄は業績悪化した会社の保険料負担を減らすため、標準報酬を過去にさかのぼって少なく見せかけたりしていた。舛添要一厚生労働相は社保庁が組織ぐるみで関与したことを事実上認めている。

 改竄は職員の怠慢が原因の「宙に浮いた年金」とは異なり、明確な違法行為だ。保険料収納率を上げるため、職員側から話を持ちかけていたとの関係者の証言もある。事実ならば言語道断だ。

 関与した職員だけでなく、幹部の監督責任も免れまい。内部調査でお茶を濁すようなら、年金不信は取り返しがつかなくなる。

 麻生太郎首相は、舛添厚労相に不祥事を働いた職員を厳しく処分するよう指示したという。場合によっては捜査当局などの協力も必要だ。政府には、徹底解明とともに、国会などを通じて国民に丁寧に説明するよう求めたい。

 被害者救済も行わねばならない。本人が知らぬ間に処理されたケースが多く、改竄されたままでは将来の年金額が少なくなる。

 社保庁は、改竄が疑われる受給者の記録2万件について、年内にも職員による戸別訪問に着手し、直接確認することを検討している。さらに受給者・加入者全員に順次、過去の標準報酬額を通知する考えだ。

 だが、自分の標準報酬額を覚えている人は多くはない。金額を極端に少なくされてもいない限り、改竄を見つけ出すのは難しい。

 社保庁には、改竄の疑いのある時期や経緯など、記憶を呼び起こすためのあらゆる情報の開示を求めたい。証拠がなければ、すぐ訂正されないことも問題だ。社保庁側から積極的に被害者や当時の会社経営者に連絡をとり、情報収集を行うべきだろう。

 年金記録問題の全面解決の道のりは遠い。野党が問題点を指摘し、政府・与党が対応に追われる図式が続いてきたが、党派を超えた協力が不可欠だ。間違っても政争の具にしてはならない。

 国民も「自分の年金は自分で取り返す」との気持ちを持ち、小さな手掛かりでも積極的に伝えることが重要だ。

PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。