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2007年12月29日

在日の99.95%が享受してない権利を『在日特権』と呼ぶらしい


以前から『在日特権』というデマを流す人がいることは知っていました。


まずは、そのガセネタに対する感想から述べたいと思います。


今の日本には不幸な人がたくさんいるんだな〜って思うだけです。経済的にも精神的にも貧しくなったせいでしょう。clawさん(▼CLick for Anti War 最新メモ)が言うところの『嫌韓下流』です。日頃よっぽど虐げられた生活をしてるのかも知れません。誰かを貶めることで自分が偉くなったような(錯覚)気分に浸っているようです。


もしも向上心のある人なら、コンプレックスを克服するために努力したり、その結果変えられないことは受け入れようとします。でも嫌韓(もしくはネット右翼)はヘタレ集団なので、ネットで文句ばっかり言って何の行動もしません。だから『嫌韓下流』*1なのです。


そんな嫌韓(もしくはネット右翼)にとって自分より下の存在は不安を解消する(あくまで錯覚ですが)ために必要です。つまり在日は自分より悲惨でなければならず、在日の不安定な立場が改善されたり、生活が救済されたりすることが許せないのです。


きっと彼らは、在日がただ空気を吸っているだけでも『特権』だというでしょう。


前置きが長くなりましたが、今回は最近、ネット右翼が「これが在日特権の証拠」(←いったいどこが!?)と騒いでいる件について反論しようと思います。きっかけは以下の報道です。まずは朝日新聞の記事をご覧ください。


住民税 在日市民を減額 2007年11月13日朝日新聞

http://s02.megalodon.jp/2007-1113-1153-15/mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000000711130004(魚拓)


◇◆伊賀・桑名市 不公平、廃止・是正へ◆◇


伊賀市と桑名市が一部の在日韓国・朝鮮人の住民税を、法的根拠があいまいなまま半額程度に減額する特例措置を長年続けていたことが分かった。遅くとも1960年代後半には始まっていたとみられ、伊賀市は税の公平性に反するとして昨年度でこの措置をやめた。桑名市も来年度から是正する方針だ。


両市によると、減額対象は、在日本大韓民国民団(民団)と在日本朝鮮人総連合会(総連)に所属する在日韓国・朝鮮人のうち、税が給与天引きされずに窓口などで納付する「普通徴収」の人たち。両団体支部を通じて納税手続きをしており、最近の対象者は伊賀市で約50人、桑名市で約250人だったという。


特例措置が始まった時期について、両市の税務課は「定かではない」とし、法的根拠として、各市条例の「特別な理由があり、市長が認める場合」という減免規定を挙げる。しかし、伊賀市の今岡睦之市長(93年から旧上野市長)は「04年の合併前ぐらいになって(特例措置を)初めて聞いたように思う」と話しており、税務職員でも課税担当者ぐらいしかその存在は知らなかったという。


経緯の不確かさと税の公平性の観点から、伊賀市は「在日韓国・朝鮮人の経済状況も大きく改善された」として05年に地元の民団・総連と特例措置の廃止で合意、07年度から取りやめた。桑名市も「時代にそぐわない」として02年に特例措置をなくすことで両団体と話がまとまり、08年度から正式に廃止する方針だ。


昨年末の外国人登録者の内訳を見ると、韓国・朝鮮籍の人は伊賀市が411人、桑名市は1037人となっている。


三重県の伊賀市と桑名市で、在日の住民税が減額されていたという内容です。


実は私は平成5年に両親と一緒に帰化しました。つまりそれ以前はれっきとした在日韓国人だったわけです。


にもかかわらず、住民税の減額措置なんて一度もありません。ちなみに両親も私も全国で在日が一番多く住む『大阪』にずっと住んでいます。民団の会員でもあります(在日だった当時)。


在日なのに享受できない『在日特権』って何なのですか?


もしも『在日特権』が事実ならなぜ両親や私はわざわざ帰化したのでしょうか*2。何故せっかくの特権を手放してまで年間約1万人も帰化する在日がいるのでしょうか。不思議な話です。


上記の新聞記事によれば、『在日の住民税減額措置』は三重県の伊賀・桑名市で行なわれていたということです。私も両親も(親戚さえも)三重県に住んだことはありません。


たとえ三重県に住んでいたとしても、会社員である私や父は住民税は給与から天引き(特別徴収)なので減税されません。記事にも、住民税が減額されたのは『在日韓国・朝鮮人のうち、税が給与天引きされずに窓口などで納付する「普通徴収」の人たち』と書いてあります。


つまり在日で住民税が減税されていたのは、三重県の伊賀・桑名市(その他の市にもあるかも知れませんが)に住んでいて、給与所得者でなない人に限られるということです。また、民団か総連の会員に限定されています。


逆に言えば、三重県に住んでいない在日や住んでいても給与所得の在日、民団か総連の会員ではない在日には、なあんの関係もない話です。


上記の朝日新聞の記事は具体的な数字も挙げているのでよくわかります。


計算してみましょう。


伊賀市(韓国・朝鮮籍の人)411人 ― (減税対象者)約50人 =(減税対象外)約361人


桑名市(韓国・朝鮮籍の人)1037人 ― (減税対象者)約250人=(減税対象外)約787人


両市合わせた(韓国・朝鮮籍の人)は1448人、(減税対象者)は約300人、減税対象外は1148人です。


減税対象者だったのは、両市を合わせると両市に住む在日の約20%に過ぎません。


ところで在日の大部分が三重県の伊賀市と桑名市に住んでいるのでしょうか?


そんなわけありませんよね。民団の調査によれば、在日は全国に約60万人(59万8,687人。2005年の統計)(←民団のホームページより)いるはずです。人口を三重県全域に広げても在日の人口はわずか6,569人。全国比で約1.10%です(これも民団ホームページ)。


では、在日全体で何%の人が住民税の減額措置があったことになるのか計算してみましょう。


『(伊賀市と桑名市の減税対象者)300人÷(全国の在日人口)59万8,687人』×100(%)=0.05%


住民税の減額措置があったのは、在日のわずか0.05%。


つまり99.95%の在日は、両市の特別措置を受けていないのです。


ここで日本語も理解できないネット右翼さんたちのために、『特権』の意味を説明しましょう。


とっけん とく― 0 【特権】

(1)特別の権利。ある身分・資格のある者だけがもっている権利。

(2)特定の職務にある者が、その職務の故に与えられている特別な権利。例えば、外交官特権など。


三省堂「大辞林 第二版」より


この定義に当てはめて考えれば『特権』と呼ぶには、基本的に『在日』という身分でありさえすれば『住民税減税』の権利がなければオカシイはずですよね。


在日の99.95%が享受してない権利が、なんで『特権』になるのですか?


それから『ある身分・資格のある者だけがもっている権利』ということは、基本的に『在日』だけが『住民税の減税』の対象でなければオカシイのです。


ということは、一般の納税者(日本人)にも『住民税の減額措置』があれば『特権』には当てはまらないことになりますよね。


一般的に、日本人であっても申請すれば、生活困窮者や障害者や母子家庭など、ある一定の条件を満たす人に対し、所得税や住民税の軽減措置があるのは知られていることではないのですか?


念のため伊賀市のホームページを載せておきます。今回の在日に対する減免措置に関する説明を含め、一般の納税者(日本人)にも住民税の減免措置が存在することをはっきりと言っています。


伊賀市 市民税減免措置についての説明

http://www.city.iga.lg.jp/kbn/80011/80011.html

市民のみなさまへ

在日「民団・総連」の市民税減免措置にかかるホームページの訂正について(お詫び)

このたびの、在日民団・総連の一部会員に対して行っていた減免措置につきまして、伊賀市ホームページにその経過の説明のため、「市民税減免措置についての説明」を掲載させていただきましたが、その文中、一部記述に誤りがございましたので、下記のとおり改め、修正させていただきました。


誤解を受ける記述により混乱を招いたことに対しまして、深くお詫びを申し上げます。

【市民税減免措置についての説明】


今回の在日本大韓民国民団三重県伊賀支部と在日本朝鮮人総連合会三重県本部伊賀支部に所属する一部会員の方々に対する市民税減免措置については、多くの方々からご意見をいただきました。


税務課に係る主な点について以下のとおり回答させていただきます。


まず、「条例制定をしていないのではないか」とのことですが、これについては地方税法第323条にもとづき、伊賀市市税条例(旧上野市市税条例)第51条の減免規定を根拠とするものです。


伊賀市市税条例(旧上野市市税条例)第51条の第1項第5号において「特別の理由があるもの」との定めがあり、今回の減免措置につきましては、過去の資料が無いため詳細については定かではございませんが、この規定により当時、市が歴史的経過、社会的背景、経済的状況などを総合的に考慮し、減免することが妥当と判断したものであろうと思われます。


しかしながら、近年、当時と比べ社会的情勢、経済的状況は大きく変化したことから、減免措置については、すでに一定の役割を終えたと


考えられます。さらに、税の公平性という観点からも、時代にそぐわないものと判断し、平成18年度をもって廃止しました。


つぎに、「減免の措置をしていることは一般の納税者に対して、差別をしてきたのではないか」とのご意見ですが、そのようなことはなく、市税条例第51条の減免規定には、


(1)生活保護法の規定による保護を受ける者

(2)当該年において所得が皆無となったため生活が著しく困難となった者又はこれに準ずると認められる者

(3)学生及び生徒

(4)民法(明治29年法律第89号)第34条の公益法人

(5)前各号のほか、特別の理由があるもの


とあり、今回の減免の件につきましては第(5)号に該当するものとして、取り扱いを行ってまいりました。


したがいまして、他の納税者の方におきましても第(1)号〜第(4)号または第(5)号により市長が必要であると認めるものにつきまして、市民税を減免できることになっていますので、在日韓国人、在日朝鮮人の人たちだけを優遇して減免していたということではありませんので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。


最後に『それでは減免措置を受けていた0・05%の在日は、特別扱いされていたのか?』という疑問が出てくるでしょうが、それは違います。当時において当然の措置だったという趣旨のことが『週刊ポスト』の12/14号に載っていました。現在、バックナンバーを取り寄せ中なので、手に入ったら所々引用させてもらって記事にするつもりでいます。たぶん時間がかかると思います。


【参考エントリ】


誰かの妄想「rodeoさんへの回答+伊賀市の住民税減免の件」

http://ameblo.jp/scopedog/entry-10056093245.html#tbox


解決不能「『在日特権』に関する素朴な疑問なのだが」

http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20071113/p1


ホンマかいな在日特権?

http://blog.goo.ne.jp/mpac

*1:『下流社会』の著者、三浦展氏によれば『「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである』とのことです。clawさんも精神の下流化という意味で使っていたと思います。決して経済的に貧しいだけの人を差別して言ってるわけではないのでご了承ください。

*2:いずれ詳しく書こうと思っていますが、帰化申請は複雑で必要書類の数も膨大で困難だったため、書類の作成を法律事務所に依頼しました。そのためのお金もかかっています。