昭和伊南総合病院(駒ケ根市)を運営する伊南行政組合は2日までに、国が本年度に限り発行を認める「公立病院特例債」約6億5000万円の発行を申請した。同病院事業会計は2006、07年度、医師不足で医業収益が悪化、不足する資金を確保するため金融機関から短期借り入れを繰り返している。特例債発行で「資金繰りが楽になる」(同病院事務部)と判断した。
同特例債は地方債の一種。総務省が公立病院の経営改革を促すため自治体に発行を許可する。03年度末から07年度末に発生し不良債務化した資金不足額の総額分を発行でき、利子償還の一部に特別交付税が充てられる優遇措置がある。償還期間は7年。
昭和伊南総合病院は医師不足が急速に進み医業収益が悪化。資金不足額は単年度で06年度に約2800万円、07年度に約6億2200万円発生している。伊南行政組合は駒ケ根市、上伊那郡飯島町、中川村、宮田村でつくる。
県市町村課によると、県内で公立病院特例債の発行を申請しているのは1自治体だけ。全国では25道府県の56自治体が、判明しただけで総額500億円超の発行を総務省に申し出ている。同省は今月からヒアリングし、発行額を確定する。