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【国際】

ソマリア沖海賊に米ロ欧が“共同戦線” 戦車強奪で軍艦続々派遣

2008年10月3日 朝刊

 【ロンドン=星浩】ソマリア沖で先月二十五日、旧ソ連製戦車三十三台を積んだウクライナの貨物船が海賊に乗っ取られた事件は、米ロ海軍が駆逐艦などを現場海域に展開する事態に発展している。欧州連合(EU)も海軍艦船を派遣する方針で、国際海運の脅威となっている同海域の海賊に対し“共同戦線”が張られつつある。

 海賊は当初、貨物船と乗組員の身代金として三千五百万ドル(三十六億円)を要求し、その後二千万ドルに引き下げた。ソマリアの海賊が手にする身代金は年間二千万−三千万ドルとされており、今回は戦車を取引材料に荒稼ぎを狙っている。

 戦車がソマリアやスーダンなどの紛争当事者に渡れば、地域安定化の深刻な脅威となるため、米国は駆逐艦を含む三隻を現場海域に派遣。既に海賊船を包囲し、荷揚げできないようにしている。ロシアもバルチック艦隊の駆逐艦を派遣中で、特殊部隊が乗船しているという情報もある。

 EUも二日まで開かれた非公式国防相会合で、今年に入って倍増している海賊行為の根本的な解決のため、加盟国が海軍艦船を派遣することを確認。来月に第一陣を送り込む予定で、ソマリア沖の海賊対策が一気に進む可能性もある。

 

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