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【社会】

新臨床研修「見直しを」 医師不足招いたと“悲鳴”

2008年10月3日 朝刊

 中部9県の自治体病院を対象とした本紙のアンケートは、医師不足に悩む病院側の切実な意見で埋まった。医師不足の原因として、2004年に始まった新臨床研修制度を挙げる病院が多く、見直しを求める意見が相次いだ。

 三重県のある病院は「内科の入院患者は週2回の非常勤医がみてきたが、その医師も9月末で大学医局が引き揚げた。精神科医が代わりに入ったが、今後、合併症患者の診療が困難になる」と訴えた。岐阜県の病院も「外科の常勤医が3人から2人に減り、緊急手術に対応できない。10月から内科医がさらに1人減り、過重労働で医師が疲弊することを心配している」とした。

 新臨床研修制度は、新人医師に2年間の研修を義務付け、研修先の病院を自由に選べるようにした。だが、新人医師の多くが勤務の厳しい大学病院を避け、症例数が多く経験を積める都市部の大病院を選択。医師が足りなくなった大学病院が、公立病院などから派遣していた医師を引き揚げ医師不足の原因になったといわれる。

 アンケートでも、多くの病院が「新臨床研修制度が医師不足を招いた」と指摘。「制度開始に伴い、15人いた常勤医が8人に半減した」(長野県の病院)「研修できる規模の病院は限られている。できない病院は医師を補充するあてがない」(富山県の病院)などと批判が相次いだ。

 対策として、以前のように大学医局が権限を持つ体制に戻すことを求める意見のほか、「研修終了後に、へき地に勤務することを義務化する」(石川県の病院)「公的機関が医師派遣の権限を持つ」(岐阜県の病院)「医大の定員に地域枠を設ける」(静岡県の病院)などと、医師の進路に一定の制限を設ける提案が目立った。

 

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