一体どう切り返すのか。麻生太郎首相の「果たし状」ともいえる所信表明演説を受け、衆院本会議で代表質問に立った小沢一郎民主党代表の応戦ぶりが注目された。
民主党への批判や質問攻めという異例の麻生流所信表明演説。小沢氏は皮肉を込めながら「せっかくだから私の所信を述べ答弁としたい」と受けた。「野党の代表質問のよう」と評された首相の演説を逆手に政権担当能力をアピールした。
小沢氏は、相次いで政権を投げ出した自民党の政権担当能力に疑問を呈した。これに対し、麻生首相は「大連立の話が崩れた時に小沢さんは民主党の力量不足を認めたではないか」と反撃するなど火花を散らした。
「じいさん(吉田茂元首相)に負けぬ政治家になる」。一九七九年の衆院初当選で麻生首相はこう抱負を語った。その十年前には小沢氏が「動脈硬化状態の国会に新風を」と衆院初当選の決意を語っている。
自民党内で挑戦を重ねて祖父と同じ座に就いた麻生首相。一方、自民党を離れ「政権」を追い求めてきた小沢氏も、ようやく目標が視界に入ってきた。
次期衆院選へ強い個性の二人の悲願をめぐる対決は一段と激しくなろう。審判となる国民は、甘い言葉やパフォーマンスといった見せかけのパンチに惑わされず、真の有効打を見極めたい。