被害額は1100億円 大和都市管財事件

 2001年11月6日、大和都市管財グループの前社長ら19名が逮捕されるというセンセーショナルな記事が新聞をにぎわせました。  この「大和都市管財グループ事件」とはどんな事件なのでしょう。

 2001年4月16日、近畿財務局長が、抵当証券販売業務を行う大和都市管財株式会社に対して、事業継続に必要な登録更新を拒否しました。これを受けて同日、大阪地裁が同社に対して会社整理決定を出したことが事の発端です。
 これによって大和都市管財株式会社を中心とする大和都市管財グループの崩壊が決定的となりました。 この大和都市管財グループの破綻で被害者約1万7000人、被害額約1100億円という、1985年の豊田商事事件以来の大規模消費者被害事件が表面化することになりました。

無謀な自転車操業
 大和都市管財株式会社は、1986年から抵当証券商法を始め、除々にその規模を拡大していきました。とりわけバブル崩壊後他の抵当証券会社が撤退、規模縮小する中にあっても積極的に事業展開を続けていきました。
 同社は、顧客からの償還請求や利払いに応じるためグループ企業に対する融資を拡大し、次々と新たな金融商品を開拓していったのです。その無謀な自転車操業の結末は、当然のごとく、何ら経済活動の裏付けのない単なる金集めに陥り、あるときは「抵当権付き債権一部譲渡」、あるときは「匿名契約上の出資金」という名目で一般庶民から多額のお金を巻き上げていきました。その過程では、「必ず儲かる」とか「絶対に損はさせない」などというお定まりの詐欺的文言や長時間にわたる執拗な勧誘行為などが行われ、お年寄りを多く含む心音良な市民が、大切な生活資金を騙し取られることになったのです。

後手にまわる行政
 大和都市管財破綻の直後から、これは重大な消費者被害事件になると考えた弁護士らが弁護団を結成し(私も微力ながらその一員として参加しています。被害の救済、会社役員や中心的営業社員の刑事・民事両面の責任追及、近畿財務局を中心とした財政当局の監督責任の追及などを行ってきました。違法な商法を行う業者の規制は、常に後手後手に回り、被害が拡大しないと動かない行政にはあきれるばかりです。
 現在会社の財産で確認されているもの、あるいは今後確保可能と思われるものは、わずか50億円程度に過ぎず、被害総額約1100億円と比べると誠に微々たるものでしかありません。被害の救済という点ではまだまだ見通しが付きかねますが、今後の努力で何とか前進させたいと思っています。弁護団としては会社関係者の責任追及を行うとともに、これを許してきた行政の責任も併せて指弾していく予定です。