日本慢性期医療協会(旧名称:日本療養病床協会)は9月19日、急性期病院と療養病床との連携に関するアンケート結果を公表した。近年、慢性期医療を受ける患者が急性期病院で治療を受け続けることにより、医療費が莫大になり、ベッド数が足りずに「救急難民」を生むなどの問題が指摘されている。同協会は慢性期の患者を治療する「慢性期病棟」が急性期の治療を継承し、医療連携を円滑化することでこれらの問題は大きく改善されるとしている。
調査対象は三次救急指定の全国202の病院で、回答数は74病院。8月にアンケートを実施した。病床種別についてみると、総病床数50,551に対して救急病床は2,145、一般病床は43,919、回復期リハビリ病床は153。医療療養病床は43で全体の0.1%にすぎないことがわかった。
一般病床の平均在院日数は15.3日で、救急外来患者のうち75歳以上の割合は15.7%。入院患者は75歳以上が3割を占め、外来に比べ入院では高齢者の率が2倍になっている。退院先の確保ができずに入院を延長することがあると答えた病院は87%にのぼり、救急の受け入れを断らざるを得なかった病院は76.7%、受け入れを断った1病院1か月あたりの平均患者数は56.2人であり、ベッドが埋まっていたり、職員体制が不十分だったりして、「救急難民」が日々生じている実態が明らかになった。
救急病床の患者を直接「他院の療養病床」に移したことのある病院は59.7%、一般病床から直接「他院の療養病床」移したことのある病院は97.1%だった。療養病床との連携の必要性はすべての病院が感じており、8割を超える病院が連携システムに参加したいと答えている。また、介護保険施設や在宅の要介護者に急性期医療が必要になった場合、一部を療養病床が担うことは「できる範囲で積極的に行うべき」という回答も8割あった。
協会は今回の調査から「救急医療はもはや押し寄せる患者に対応しきれ」ないとし、高齢者疾患のノウハウをもってあたるべき患者は療養病床にゆだねたいという意識が読み取れる、と分析している。
日本慢性期医療協会