豪雨で大きな被害を受けた菰野町の御在所岳(1212メートル)の「裏道」から頂上までのルートが28日、開通した。家族向けのコースとして人気のあった裏道だが「不安定な岩だらけの道になり、危険なルートになってしまった」と関係者は話す。再び多くの人が訪れる登山道にしようと、愛好家たちがボランティアで整備を続けている。
この日は東海3県や京都府、大阪府、滋賀県などの山岳連盟のメンバーや愛好家約70人が集まった。流木や土砂を取り除いたり、登山道となる岩に目印を付けたりしたほか、4合目(665メートル)にあり、豪雨で傾いたままの山小屋「藤内小屋」の後片付けを手伝っていた。
京都府山岳連盟理事長の宮永幸男さん(59)=京都市=は「ロッククライミングの絶好の練習場所。ここで育ちアルプスやヒマラヤに挑戦するようになった人も多い。安全な道を整備したい」と話していた。大垣山岳協会理事長、佐竹良彦さん(60)=岐阜県大垣市=は「若いころからよく登ったので、できることをしたい。前のようにたくさんの登山客に来てもらえる場になってほしい」と話す。
登山客だけでなく、50年ほど前から年1回ここで訓練をしている陸上自衛隊第35連隊(名古屋市守山区)の隊員と出身の隊員計15人もボランティアとして片付けを手伝っていた。小隊長の久米功記さん(39)は「お世話になった人たちと後輩の今後の訓練のために休みを利用して手伝いたい」と汗を流していた。
藤内小屋オーナーの佐々木正巳さん(73)は「涙も枯れ、周りの励ましが何よりの力になっている」と語る。
県山岳連盟と日本山岳会東海支部の遭難対策委員長の野呂邦彦さん(66)=四日市市=は「裏道は危険なルートになった。登る時には落石や転落に十分気をつけ、悪天候や川の増水時には登らないでほしい」と呼び掛けている。【高木香奈】
〔三重版〕
毎日新聞 2008年9月29日 地方版