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米金融危機:ドル資金不足、中小企業に非常事態

 生産設備専門メーカーのU社は最近、東南アジアの企業に150万ドル(約1億5870万円)相当の自動化設備を納品した。製品を船積みした後、取引先の銀行に輸出為替手形の買い取りを求めたところ拒否された。表面的には決済期日が90日以上先で、信用度が低いというのが理由だったが、実際は米国発の金融危機を受け、銀行がドル資金の支出を厳しく制限しているためだ。銀行が企業の輸出為替手形を買い取る行為は、事実上ドル建てで融資を行うのと同じだ。

◆為替手形買い取り、銀行が慎重姿勢

 U社関係者は「輸出代金を先に受け取れなければ、輸出商品の生産に必要な原材料を外国から購入できない」と語った。

 自動車部品メーカーのK社は先ごろ、メーンバンクから輸出為替手形をドル建てではなくウォン建てで決済してほしいと求められた。同社の資金担当常務は「輸出をしてもドルを手にしにくい状況だ」と話した。

 ドルを稼いだ輸出企業がドル資金不足で苦しんでいる。米金融危機で外貨建ての借り入れが難しくなった銀行がドル決済を大幅に減らしているためだ。さらに取引企業の輸出に必要な信用状の設定を見合わせてほしいと求めてくる銀行も多いという。

 銀行のドル資金引き締めは、輸出中小企業の資金繰りに決定的な打撃を与えている。輸出中小企業は大半が輸入業者から代金を受け取る前に輸出為替手形を振り出し、先に代金を受け取って原材料を購入している。輸出為替手形の決済が困難になれば、原材料の購入費を工面できず、製品の生産に支障が出る悪循環に陥る。

 ドル資金不足は企業収益にも悪影響を与える。市中銀行は米リーマン・ブラザーズが破産申請した先月中旬以降、外貨調達金利の急騰で輸出為替手形に対する上乗せ金利を5%台半ばから1%前後引き上げた。企業が負担する金融コストがそれだけ増えた格好だ。

◆手数料も増え「二重負担」

 金属部品輸出メーカーのC社関係者は「輸出為替手形の決済に際し、最近は金融コストだけで3000万ウォン(約270万円)程度負担が増えた。利益率が低い中小企業にとっては重い負担だ」と話した。

 専門家は安定的なドル資金供給に向け、輸出企業の為替流動性(外貨資金のキャッシュフロー)を確保する対策が必要だと指摘する。韓国貿易協会の担当者は「銀行が輸出企業に対するドル資金供給を減らせば、輸出が減ることは避けられない。輸出が減れば韓国国内へのドル資金供給がさらに減ることになる」と警告した。

李性勲(イ・ソンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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