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米金融危機:韓国政府VS市場、勝つのはどちら?

韓国政府「先手を打つのがより効果的」
専門家「不安心理は変わらず」

 韓国政府が金融不安への対応策を連日発表している。

 米国発の金融危機が韓国の金融市場や先物経済に悪影響を及ぼすことのないよう、迅速な対応を行うためだ。

 しかし韓国経済にも数々の悪材料が待ち構えている。KIKO(為替レートが一定幅以上変動すると通貨オプション契約が自動解消するノックイン・オプション、またはノックアウト・オプションと呼ばれる商品)に加入することで多額の損失を記録している中小企業が危機的状況となり、売れ残りマンション問題の影響を受けている多くの中小建設業者が風前のともしびのような状況にあるからだ。

 1日には国際的信用評価機関のムーディーズが国民・ウリ・新韓・ハナの韓国4大銀行に対する銀行財務格付け(BSFR)の見込みを「安定的」から「否定的」へと下方修正した。韓国の金融市場を支えてきたこれら金融機関にも警告ランプがともったことになる。

 徐々に規模を大きくしている韓国政府による市場介入と、不安がさらに拡大しつつある市場との対決は、果たしてどちらが勝つのだろうか。

◆連日会議を行う経済チーム

 企画財政部の姜万洙(カン・マンス)長官はこの日、大統領府(青瓦台)で韓国銀行の李成太(イ・ソンテ)総裁、金融委員会の全光宇(チョン・グァンウ)委員長らと「マクロ政策についての協議」を行った。内外の金融市場や中小企業の状況をチェックするためだ。前日も米国政府による救済案が下院で否決され、世界の金融市場が心理的に大きな不安に陥ったことから、経済チームは緊急の協議を行って対策を議論した。

 1日の会議で経済チームは、金融機関の外貨流動性の確保と中小企業の資金難解消に力を入れることで合意した。金融委員会は輸出企業が資金難で輸出に困難を来すことのないよう、輸出為替手形の決済などが円滑に行われるようにし、KIKOにより損失を出した企業が一時的な資金難で黒字倒産することのないよう支援する対策なども発表した。

 韓国政府は前日にも株式や為替の対策を発表している。金融委は空売りを年末まで全面的に禁止する措置を取り、自社株買いの規制も大幅に緩和した。株式市場の暴落を防ぐためだ。外為市場向けにも実弾を放った。姜長官は「必要ならば現物市場にも、外貨準備を取り崩してでもドルを投入する」と明言した。

 韓国政府は一連の対応によりかなりの効果が出ると判断している。姜長官はこの日午前中に汝矣島で開催された党と政府の協議会で「昨日は株式市場が比較的安定し、為替も午前中は不安定な動きだったが午後には安定した。政府による対応が効果を発揮しているようだ」と述べた。李明博(イ・ミョンバク)大統領もうまく先手を打ったと評価した。

◆市場は米国の状況にさらに敏感

 しかし金融や為替市場は政府のこのような対応では、ドル不足や信用不安などが解消されることはないという不安の声も根強い。

 連日下げ続けていたウォンは1日にはやや安定を取り戻した。ドルに対するウォンのレートは先月22日以来7取引日連続して下がり続けていたが、1日には前日よりも20ウォン(約1.8円)高い1187.00ウォンで取引を終えた。

 しかし為替の専門家は「政府が介入したからではなく、米国での救済法案が再び表決に付されるというニュースが入ったからだ」と分析している。

 外国為替市場も今後1ドル=1250ウォンから1300ウォンにまでウォン安が進むとの否定的な見方が根強く、米国から良いニュースが飛び込んでくるのを期待するしかないような雰囲気だ。

 シティバンク銀行エコノミストのオ・ソクテ氏は「韓国政府が外貨準備という究極のカードでいつまでも介入できないことは誰でも知っている。政府による対策だけで不安が収まることはない」と述べた。LG経済研究院のペ・ミング先任研究員も「政府が別の方法でドルを調達できるという“実力”を示さない限りは、金融市場の不安心理は簡単には収まらないだろう」と指摘した。

金起勲(キム・ギフン)記者

姜京希(カン・ギョンヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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