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【社会】

東大農場で禁止農薬 コメ栽培、住民に販売

2008年10月2日 夕刊

 東京大は2日、農学生命科学研究科付属農場(東京都西東京市)で1997−99年の3年間、農薬取締法で使用が禁止されている水銀系農薬を使って実習でコメを栽培、周辺住民に販売していたと発表した。

 使われた農薬は「酢酸フェニル水銀」で研究用試薬として市販されているが、毒物および劇物取締法の指定毒物。残留の恐れがあるとして73年に使用が禁止された。水俣病の原因のメチル水銀に比べ、健康を害する可能性は低いとされる。

 東大は調査委員会を設置。使用の経緯や健康への影響の有無、土壌や地下水に残留しているかを調べている。2日午後に農場で住民説明会を開く。

 東大によると、97−99年の毎年4月、苗床にまく前の種もみの消毒のため、酢酸フェニル水銀を主成分とする水銀剤を溶かした水溶液に5−6時間浸し、水洗後に実習用水田で栽培。収穫されたコメは計3・6トンで大半は周辺住民に販売され消費された。購入者は特定不能という。

 また、2004−08年に研究用の種もみに使用。コメは研究用に使用後すべて廃棄されたという。このほか06年には柿の苗木に、07年にはリンゴの苗木に同じ水溶液を使った。柿は実を付けず、リンゴは食用種ではなかった。

 実習用水田で農薬を使ったのは、96年ごろに東大に採用された農場の技術系職員。調査委に対し「当時水田が荒れており、水銀系農薬がカビ類の病害を防ぐのに有効なので使用した。違法性は認識していた」と話しているという。酢酸フェニル水銀は73年以前に購入され、農場に保管されていた。購入日は不明という。

 東大は9月18日の内部告発で問題を把握。22日から同農場で収穫された野菜などの農作物の販売を中止した。

 

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