【広州=小林哲】中国の学校で、日本への修学旅行がちょっとしたブームだ。日本を訪れた児童・生徒は、修学旅行のビザ取得が免除された04年以降急増し、この夏初めて年間1万人を突破。大人気の日本アニメや進んだ科学技術などが、中国の子供たちを引きつけているようだ。
日本外務省の調べでは、日本を訪れた中国の修学旅行生は、05年の49校1420人(引率教師を含む)から、今年は380校、1万1200人(8月末時点)に。多くが広東省や上海、北京など沿海部の富裕層の子供たちだ。
07年に日本への修学旅行を始めた中山大学付属雅宝学校(広州市)は、秋葉原のアニメショップや宮崎駿監督の三鷹の森ジブリ美術館、東京・お台場の日本科学未来館を見学先に盛り込んだ。アニメの専門学校に体験入学したり、群馬県などで地元中学生と交流し民家にホームステイしたりした生徒もいる。
石漫莉・副校長は「『日本人は怖い』とホームステイを嫌がる生徒もいたが、『とてもやさしかった』と大満足して帰ってきた」。
ただ、こうした体験ができるのは、まだ一部の生徒に限られる。5泊6日の旅費は1人あたり約8千元(約13万円)で、一般の大卒初任給の数カ月分だ。
在広州総領事館の瀬野清水・首席領事は「新しい目で日本を見ようという雰囲気が出てきた表れ。子どもには海外を体験させたいという教育熱心な親も増えている。等身大の日本を知ってもらういい機会になる」と話している。