投資信託にかかるコスト まとめてみました。 

  引かれるタイミング  受け取るのは  購入前に分かるか
購入手数料  購入時  販売会社(証券・銀行)  ○ 
信託報酬  毎日(信託報酬の日割り分)  運用会社・販売会社・信託銀行  ○ 
信託財産留保額  売却時(まれに購入時にかかるものも)  そのファンド自身 ○ 
証券売買委託手数料  そのファンドが、組み入れ銘柄の売買をした時  その売買を執り行った証券会社  △ 
監査報酬    監査法人  △ 
管理費
信託事務の諸費用(信託財産に関する租税、信託事務の処理に要する諸費用、外国における資産の保管等に要する費用等)
  ファンドの購入者・運用社・販売社・信託銀行以外 
為替手数料  売買時   
ファンド自らの売買で、その売買銘柄の価格が上下 そのファンドが、組み入れ銘柄の売買をした時 その銘柄の反対売買をした者  ×
コバンザメ投資によるコスト インデックスファンドの銘柄入れ替え時  コバンザメ投資をした人  × 

購入手数料
購入時に、0〜3.15%程度引かれる手数料
そのファンドを販売している会社(証券会社・銀行等)の取り分となる。
購入者側からすると、低い方が良いコスト。販売者側からすると、高めの方が嬉しいコスト。←ただし競合上、ネット証券などでは販売手数料のノーロードファンドも多く、手数料をキャッシュバックするキャンペーンも期間限定で行ったりするので、要チェック

信託報酬
年に0.1〜3%程度かかる手数料。毎日日割りで引かれる。日々発表される基準価格はこの信託報酬を引いた後の数字。
運用会社・販売会社・信託銀行の3者で配分する。
購入者側からすると、低い方が良いコスト。販売者・運用者側からすると、高めの方が嬉しいコスト。

ファンドの基準価格を決めるもとになる信託財産は、主にその組み入れ証券(株・債券等)の価格の上下によって、上下する。
組み入れ証券の売買にかかった手数料、監査報酬・管理費等も信託財産から引かれる。
最後に、信託報酬の日割り分を引いて、基準価格が決まる。


証券売買委託手数料
そのファンドが組み入れ銘柄を売買する際にかかった手数料が信託財産から引かれます。
また、見えないコストとして、ファンド自らの購入注文によってその売買証券の価格が上がったり、売却注文によってその売買証券の価格が下がったりするという点が有ります。この見えないコストは流動性の低い組み入れ銘柄(小型株や新興国株・商品等)ほど高くなります。
購入者側からすると、低い方が良いコスト。販売者側からすると、高くても得にならないコスト。

これらの組み入れ銘柄を売買する際にかかるコストは、2つの要素に分ける事ができると思います。
・組み入れ銘柄の入れ替えに伴う売買コスト
〜アクティブファンドのうち頻繁に組み入れ銘柄の入れ替えをする(回転率が高い)ファンドは、このコストの負担も大きくなります。
インデックスファンドの場合は、指数の組み入れ銘柄が入れ替わった時なので、比較的これにともなる売買は少ない(回転率が低め)です。ただし、インデックスファンドの場合は見えないコストとして、コバンザメ投資(新たに組み入れられる銘柄が指数に組み入れられる前に価格が上がり、逆にはずれる銘柄は、はずれる前に価格が下がる)の影響が有ります。

・口座数の増減に伴う売買コスト
〜売却口数よりも新たな購入口数の方多ければ、その分組み入れ証券を買って増やす必要が有ります。
反対に、新たな購入口数よりも売却口数が多ければ、その分組み入れ証券を売る必要が有ります。
これは、アクティブファンドでもインデックスファンドでも同様に、口数の増減によってかかる費用です。
おすすめ関連リンク
瀕死の投資信託から読み取る [我が子のために株式投資・投資信託]
〜大口の売りがあった場合、それによるダメージは結構大きいようです。

信託財産留保額
ファンド購入者がファンドの売買を頻繁に行い総口数が変化すれば、その分口座数の増減に伴う売買コストは増え、信託財産は目減りします。→基準価格が下がる。
この信託財産の目減り分を、売買した者に負担してもらう為の手数料が信託財産留保額です。一般的には売却時にかかりますが、購入時にかかるものも有ります。
購入手数料や信託報酬は、増えれば増えるほど信託財産から引かれていくのでファンド保有者の取り分は減ります。
それに対して信託財産留保額は、そのぶん信託財産が増える→基準価格が上がるのでファンド保有者の中でゼロサムになります。平均よりも短い期間で売買した者は相対的にコストの負担が大きくなり、平均よりも長期で保有した者は相対的にコストの負担が小さくなります。
短期で売る可能性が有る人、海外ETFへのリレー用として使う人にとっては、低い方が良いコスト。長期で保有する人には有った方が良いコスト。
おすすめ関連リンク
信託財産留保金とはなんですか? [さわかみ投信 よくある質問]

その他費用
監査報酬(モーニングスターでは、監査報酬は信託報酬とまとめて表示されています。)
管理費
信託事務の諸費用(信託財産に関する租税、信託事務の処理に要する諸費用、外国における資産の保管等に要する費用等)
これらは、ファンドの運用者や販売会社などの利益とはならない費用で、ファンド保有者が負担します。
購入者側からすると、低い方が良いコスト。販売者側からすると、高くても得にならないコスト。
外国株投信(特に新興国)やバランス型ファンドでは、これらの費用はそれなりの額になるようです。
おすすめ関連リンク
イートレード証券、SBIファンドバンクで低コストのインデックスファンドが! [ある貧乏人の信託物語]

為替手数料
外貨建ての外国籍投信の売買の場合は、ファンドの売買時に為替手数料が引かれます。外貨建て資産に投資する円建て投信の場合は、為替手数料はコストとして信託財産が目減りします。考え方によっては為替手数料が売買時にかかるファンドは信託財産留保額がかかるファンドと同じなので、長期保有する人にとっては有利。短期保有の人には為替手数料のかからない円建てが有利。


購入手数料・信託報酬・信託財産留保額 は、購入前に分かるコストです。同じ種類のファンドと充分に比較検討しましょう。

証券売買委託手数料やその他費用は、購入時には正確なコストはわかりません。ただし、運用報告書を見れば過去1年はどれだけコストがかかったかが分かるので、そこからどの位のコストがかかるかおおよその目安は想像つくかもしれません。
おすすめ関連リンク
運用が始まったばかりの投資信託には注意が必要 [投資信託 - SyncHack]
運用が始まったばかりのファンドが新規に資産組み入れをする場合、資産の売買コストが相対的に高くなる事が多いようです。
また新規ファンドの場合、運用が始まってはじめの決算をむかえ運用報告書が出るまで、その他費用がいくら位かかるか分からない。
運用開始から有る程度たって動向を見定めてから購入するというのが無難と言えば無難。

おまけ その1
今、投資信託ブログなどで話題?のセゾンバンガード財産維持手数料について、私なりの理解。

財産維持手数料は、バンガードのファンドを買っている人にとっての信託報酬留保額。
もしこのコストが無かった場合、売買があればその分基準価格は目減りするので、保有者全体からすると有っても無くても損得ゼロ。
このコストが有る事により、短期保有の人は相対的に負担が大きくなり、長期保有の人は相対的に負担が小さくなる。

ただしセゾンバンガードの場合は、グループを組んで共同購入している様なものなので、個人ではなくセゾンバンガードを保有している人全体の売買頻度によって、コスト負担が決まる。
セゾンバンガード保有者の保有期間の平均がバンガードファンド保有者の平均よりも短いのならば、この財産維持手数料が有る事はデメリット。
逆にセゾンバンガード保有者の保有期間の平均がバンガードファンド保有者の平均よりも長くなれば、この財産維持手数料が有るのはメリット。

自分ひとりではなく他のセゾンバンガード保有者の影響も受けるというのは、共同購入のデメリット。ただし共同購入のメリットとしてスケールのメリットが有るので、セゾンバンガードでは個別で買うよりも実質的に低減された料率が適用されているので割戻し分が有るようです。
参考
目論見書
運用報告書


おまけ その2
いろいろなファンドのコスト (野村アセットマネージメント)

  ノムラ日本株戦略ファンド
(日本株アクティブ) 
トピックスインデックスOP
(日本株インデックス) 
グロハイ
(世界株)金額は半年
購入手数料  3.15% 2.10%  3.15% 
信託報酬  175円(1.99%)  46円(0.651%) 58円(1.155%) 
証券売買委託手数料 8円(約0.09%) 0円(四捨五入)  8円(約0.16%) 
信託財産留保額  0.30%  なし なし
その他費用      12円(約0.24%) 
 計 売買時3.45%、1年2.08%  売買時2.10%、1年0.651%  売買時3.15%、1年1.56% 


  野村インド株投資
(新興国株) 
野村短期債券オープン
(日本債券) 
世界6資産分散
(バランス型)金額は半年
購入手数料  3.15% なし 1.575% 
信託報酬  395円(2.10%)  27円(0.2625%) 36円(0.7245%) 
証券売買委託手数料 47円(約0.25%) 0円(四捨五入)  0円(四捨五入)
信託財産留保額  0.50%  0.05% 0.30% 
その他費用  54円(約0.29%)    1円(約0.02%) 
 計 売買時3.65%、1年2.64%  売買時0.05%、1年0.27%  売買時1.875%、1年0.75%

野村アセットマネージメントのファンドばかり集めたのは深い意味はなく、HP内で運用報告書の閲覧が可能だったからです。

にほんブログ村 株ブログ 株の基礎知識へにほんブログ村 株ブログ 株 中長期投資へにほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
↑記事が参考になりましたら、どれか1つクリックお願いします。

コメント

私の投信も

瀕死っぽいので(?)ゆうちゃんパパさんのところに跳んで行ってみました。うちにも、どうですか手紙が時たま来ますが、大口さんが抜けたんですかね。

バランス型が実はバランスとれてないってダメじゃん(@_@)

今日は、株価がちょっと上がってるので、どうでしょうか?ちょっとは持ち直したでしょうか。

ダモさん
どうですか手紙は、証券会社によっては販売目標みたいなものも有ると思うので送っているケースも有ると思いますが。

日米・あるいはその他も、今週はちょっと持ち直したみたいですね。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://kabuohazimeru.blog22.fc2.com/tb.php/377-780e6a95

アクセス解析アクセスランキング